2014年9月24日水曜日

20140924国家は一つの生物種である(11)―― 国家の意識・国際社会の意識 ――


 意識は感覚・感情・行動・記憶の各要素が統合されたものであると言われている。以前私は意識は人間にしか存在していないものであると言った。しかし上記の概念では意識は動物にも存在しているし、感情をプログラムされたコンピューターにも意識を持たせることは不可能ではないかもしれない。

 人間には言語がある。人間はその言語を用いて自分が意識したもの・体験したこと・他人が意識したこと・他人が体験したなどを詳細に記録し、後世に伝えることができる。人間は想像力を働かせて自分の意識を遠い過去から遠い未来まで拡げることができる。人間の意識は時空を超越するものであり、広大無辺・融通無碍・自由自在なものである。

 人間の意識は800億個もの脳神経細胞の活動によって作り出されるものである。一個の脳神経細胞には1万本ものスパイン(spine)と呼ばれるとげ状の突起がある。その突起部分が他の脳神経細胞のスパインの突起部分と結合することにより意識が生まれる。意識の量はその脳神経細胞の数と脳神経細胞同士の結合の度合いの濃淡によって決まる。

 脳神経細胞を作り出し、一つの脳神経細胞のスパインと他の脳神経細胞のスパインとの間で結合を生じさせるものは遺伝情報である。人間は死ぬと脳神経細胞も消滅する。しかし遺伝情報は子孫に伝わる。また本人の遺伝情報は本人の骨など体の組織が残っている間は残る。

 私は「意識は霊魂である。意識は脳内に碇を下して体全体を包んでいる。国家の意識もその国家の統合の中心に碇を下して国家全体を包んでいる」と考えている。人は死んでもその霊魂は何かの形で永遠に残る。過去世・現世・来世の因縁は人間だけのものである。

「あの世」の存在の有無を科学で証明することは不可能である。しかし極めて素直に「あの世」の存在を信じることができる人は幸せである。一方で「あの世」は必ず存在するとか天地創造の神は絶対に存在するとして、そのことを「信ぜよ」と他人に強要する人は普遍的社会にとって甚だ迷惑な存在である。


 国家は人間の集合体である。大多数の国民の共通的な意識が国家の集合的な意識となる。意識の根源には自存欲求がある。国際社会はそれぞれ自存欲求を持つ国々の集合的な社会である。国際社会で共通的に価値があるものは「国際法」である。価値観が共通な国家同士はグループとなる。利害が共通する国家同士は同盟を組む。自らの支配力を高めるため平気で人を殺す猛獣のような人々のグループは社会から結局排除されることになる。

2014年9月3日水曜日

20140903国家は一つの生物種である(10)―― アリは同じ種のアリを食べ殺す ――


 NHKBSの番組に「ワイルドライフ」という番組がある。その一つに『アリゾナ砂漠 ミツツボアリ 巨大帝国を築く』という番組が放送された。ミツツボアリは体長7㎜ほどの小さな蟻である。彼らの生態の幾つかをここに列挙する。
    ひとつがいの羽アリのオスとメスが交尾し、メスは女王アリとなる。
    女王アリは巣穴を掘り始める。
    そこに5、6匹の女王アリたちが寄ってくる。
    彼らは初めに巣穴を掘り始めた女王アリの巣穴掘りを手伝う。
    巣穴が完成し女王アリたちは産卵を始める。
    卵を舐めて清潔に保つ役割を担っているアリたちがいる。
    外で食糧を見つけ出し巣に運んでくる役割を担っているアリたちがいる。
    食糧と自分の唾液で作った蜜を作る役割を担っているアリたちがいる。
    その蜜を口移しで受けて自分の体内に貯蔵する役目を担う貯蔵アリたちがいる。
    巣の中は幾つもの小部屋に分かれている。
    その一つの部屋ではお腹を蜜で膨らませた貯蔵アリたちが集まっている。
    巣ができて6年目に巣内で異変が起きる。
    女王アリたちが生き残る順番を決める動きを見せ始める。
    フェロモンの強い女王アリ一匹だけが生き残る。
    生き残り競争に敗れた女王アリは巣内の他のアリたちに食べられてしまう。
    巣ができて8年目にミツツボアリの巣の中は巨大な帝国のようになっている
    ある日その巣に他のミツツボアリの集団が侵攻してくる。
    女王アリは巣内の秘密の小部屋に避難する。
    巣内のアリたちは必死に防戦する。彼らは兵隊役を担っているアリたちである。
    侵攻した集団は巣内の女王アリや卵や他のアリたちを皆殺しにして食べ尽くす。

 「20140823国家は一つの生物種である(8)――  日本人は完全混血人種である ――」に書いたように体長5㎜にも満たないうようなアリたちの生態を観察したことがあった。彼らは2匹単位で行動している。仲間が次々殺害されると何処かに身を隠して生き残っていたアリたちは群れをなして一か所に集まる。この状況「20140721国家は一つの生物種である(4)――国家=‘生物’/国民=‘細胞’――」に書いたように単細胞生物のキイロタマホコリカビが危機を感じてナメクジのような多細胞体になることと似ている。多細胞体のアリ同士は何かの方法で互いに信号を伝達し合っている。この状況は動物界のヒト種である我々人間も同じである。

 上述過酷な環境のアリゾナ砂漠で暮らすミツツボアリは生き残るため同じDNAの身内を食べる。歴史を顧みればわが日本でもヨーロッパでもヒトは生き残るためDNAが殆ど変らない他のヒトを殺している。ヒトは理性があり感情があるからそのような残虐なことはできるだけ避けようとするだけで、本質的に上記アリたちと変わらない。これが現実である。何千年も昔に起きたように気候が異常となり食糧難が起きそうである。ヒトは生き残るため互いに争う。テロ活動はその一形態と観ることもできる。争いに負けたヒトの集団は分解され、或いは消滅する。


 多人種混血の単一民族の国家である日本は、国家として生き残るためどうあるべきか?わが日本国憲法前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」するだけでは日本は国家として生き残れないことだけは確かである。またもし天皇・国旗・国歌が軽んじられるようになれば日本国は衰退してしまうだろう。アメリカは大統領選挙・「星条旗よ永遠なれ」という国歌・そしてその国旗が多民族統合の要となっている。「生き残る」という共通の利益を軽んじる国民が多くなれば国家は衰退する。結果的にその国家で恩恵を受けている個々の国民が不利益を被ることになる。