2015年10月31日土曜日

20151031遊煩悩林現神通(ゆうぼんのうりんげんじんづう)―― それは 個人にも国家にも ――


この語は真宗の『在家勤行集』の中にある。これは「煩悩の林に遊び、神通を現わす」という意味であろう。因みに「神通力」とは「禅定などによって得られる不思議な力」。「禅定」とは「座禅によって精神を統一すること」である。(三省堂『漢辞海』より引用)

 「神通」には「天耳通・他心通・宿命通・天眼通(有情死生通)の五神通がある(水野弘元著『仏教要語の基礎知識』より引用)。人はどうあればこの「神通力」を得ることができるのであろうか?私は次のようにあれば自ずとその「神通力」が得られるに違いない、と思っている。私は座禅をしたことがないので分からないが、生まれつきの性格や日常の精神や生活の有り様によっては座禅をしない人でも「神通力」が得られるに違いないと思っている。
    欲がなく、物やお金や地位や名誉で自分が他人より優位に立とうなどと全く思わないこと。
    見栄を張らず現状のあるがままに満足していて質素であること。
    謙虚で誠実であること。
    自分の身体は自分の物であるが、一方では自分の物でもないと思うこと。
    自分の人生は、自分がこの世に生を享ける以前にこの世を去った誰かの生まれかわりの人生であると思うこと。
    自分の生活において、偶然に起きたことは何か見えない力により必然的に起きたことであると思うこと。
    釈尊(お釈迦さま)の教えを学び、素直にその教えに従い、お釈迦様を信じること。
など。

 人はこの世に生まれた時から「苦しみ(=苦)」を背負っており、この「苦」は死なない限り無くすことはできない。この「苦」には「生まれること(生)・老いること(老)、病むこと(病)・死ぬこと(死)」の四つの「苦」(=四苦)の他、母の胎内で卵子が幾多の精子の中のたった一つの精子と出会って結合した瞬間から過去を背負ってこの世に生まれ出で、人生を歩む過程において味わう四つ「苦」がある。この四つの「苦」と合わせて、人はこの世で「八苦」の中で生きなければならない。

 「嫌いな憎い人びとと出会い、共に暮らすこと(=怨憎会苦)」・「愛する人びとと生別し死別すること(=愛別離苦)」・「自分の思いどおりにならないこと(=求不得苦)」の他、「生老病死(=四苦)」とこれら「怨憎会苦・愛別離苦・求不得苦」の三つの「苦」を概括した「五取蘊苦(ごしゅうんく)、旧約では五盛陰苦(ごじょうおんく)」の四つの「苦」を合わせて「四苦八苦」となる。「五取蘊」とは「取著ある心身環境のこと」である。

 仏教において仏身には「法身」・「報身」・「応身(または化身)」の三つがあるとされる。「法身」は仏の説法として真理を人格化した「真理仏」である。「報身」は信仰の修行や誓願が完成して、その結果として得られた完全・円満な理想的な仏陀のことである。これには阿弥陀(Amitāyus)仏・無量寿(Amitābha)仏・無量光仏・薬師如来がある。「応身(又は化身・応化身)」は教化の対象に応じて仮にある姿を化作した仏身のことである。2500年前にインドに出現した釈迦仏(=お釈迦さま・釈尊)はこの「応身(又は化身・応化身)」である。(水野弘元著『仏教要語の基礎知識』・『仏教の基礎知識』を参考に一部引用)

 「南無阿弥陀仏(ナムアミダブツ)の「南無」はサンスクリット語のナマス(namas)およびナモー(namo)の音写で、「敬意・尊敬・崇敬」をあらわす感嘆詞である(Wikipedia)。

 お釈迦さまは人間としての生き方はどうあるべきか、ということについて教えて下さった。私は、人はその教えを素直に受け入れ、生死に無関係に、前世から現世、さらに来世へと続く因果応報を信じ、貪り・怒り・愚かさの煩悩の心のまま喜怒哀楽しながら、しかし殺人・盗み・邪淫・邪欲・詐欺・恨み・憎みなど人の倫から外れた行いはせず、愛他・奉仕の精神で日々を送るようにするならば、誰でもきっと幸福になることができるに違いない、と思っている。五体不満足な人でも、また傍から見ていてとても可哀そうな人でも、その人自身は決して不幸に思っていない。その人は自分に起きていることを決して偶然に起きていると思っていず、それは必然的に起きていることだと思い、悲しみもせず、誰かを憎んでも恨んでもいず、いつも柔和に頬笑んで自分にできることをしている。

 国家は人びとの集合体である。日本という国家は万世一系天皇を戴いていて、日本人は天皇のもとに集う家族のようである。天皇は常に日本という国と日本に暮らす人々の幸せのみならず世界の平和を祈って下さっている。日本は他国を武力により支配下に置こうというような野心は全く持っていず、世界の平和と繁栄のため、誠実に、謙虚に、積極的に貢献している。日本がそういう国であり続ける限り、日本は幸福な国であり続けることであろう。


 日本の領土を不法に占拠し、あるいは日本の領土を奪おうとし、あるいは日本の領土・領海・領空・排他的水域を侵犯している国がある。日本は常に冷静にそういう状況に対処してきている。しかし、「神通力」が日本に作用していて日本を守ってくれている。私は、日本を取り巻く状況の中において日本にとって幸運な出来事は偶然に起きたことではなく、それは必然的に起きていることである、と思っている。「煩悩の林の中に遊びながらも神通力が現れる」状況は、無欲・誠実・謙虚な人々にも国家にも現実に起きているのである。