2015年8月16日日曜日

20150816男・オスの本質 ―― なぜ力の同盟が必要なのか考える ――


 我が国にける殺人犯の男女比について、統計上では男が約80%、女が約20%である。野生動物、特にライオンなどの猛獣はメスをめぐってオス同士が争う。人間も動物の仲間であるので男同士が争うことが多い。男も動物の仲間ではオスである。オスは子孫を残すため単独で、或は集団で争うことが宿命づけられているのである。

 争いの根源は脳の中にある。ところが人間には理性があるから争いの感情を制御することができる。両親から受け継いだ遺伝子に刻み込まれている要素により、生まれつき激高し易い性格を持っている男の子でも、その子がその母親の胎内にいるときから、或は乳飲み子のときから正しく訓練されると、その子は自分の感情を制御できるように成長するに違いない。

 『Newton別冊 知りたい! 遺伝のしくみ』という本に次の記事がある。(“”内)
 “遺伝子との関係が明らかにされた性格の一つに「攻撃性」がある。オランダの遺伝学者ハン・ブルーナー博士は、放火やレイプ、露出壁などといった衝動的な行動や攻撃的な行動をとる人が多くいる家系について遺伝子をしらべてみた。するとその家系の中には「MAOA(モノアミノ酸化酵素A)というタンパク質をつくる遺伝子に異常があり、MAOAがまったくつくられない複数の男性がいた。

 MAOAはセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質を酸化する作用をもつ。酸化された神経伝達物質は機能を失いニューロンの外に排出される。
 このMAOAをつくることができないタイプの男性は全員が攻撃的な性格であった。ブルーナー博士らはこの結果から、MAOAが攻撃性という性格に強く関係していると考えた。この研究成果は、1993年に、科学雑誌『Science に紹介された。

 その後さらに研究が進み、攻撃的な人、とくに男性では男性ホルモンやアドレナリンが多く分泌されていることが明らかになっている。”

 男性を特徴づけるY染色体遺伝子について、『意識は傍観者である』(早川書房)には“人間のおよそ半数がこの遺伝子をもっていて残りの半分はもっていないので、もっている半分のほうがはるかに危険である。比べものにはならない。囚人の圧倒的多数がこの遺伝子をもっていて、死刑囚の98.4%がもっている。”とある。要するにオスは生来攻撃的なのである。その攻撃性を抑制する理性は正しく訓練されないとうまく働かないのである。これは個々の国民でも国家や国家連合のような集合組織体でも同様に言えることである。

 なぜ国家において警察や軍が必要なのか?それは個々の国民の生存と幸福のためである。ではなぜ国家同士が同盟を結ぶのか?それは集団で脅威に対抗するためである。ではそのための手段・方法はどうあるべきか?最も望ましいのはそのことが法律に定められていることである。しかし法律が先か、実行が先かという話になると、危急の場合は国民に負託された「賢い人たち」による慎重な手続きと判断によって直ちに実行に移されるべきである。但し、それは最高裁判所が示す基準に必ず従っているものでなければならない。


 「軍事力」・「軍事同盟」という言葉に距離を置きたい人々は、表題の「男・オスの本質」というような言葉を好まないだろう。しかし現実の世界ではその言葉で言い表すことができるようなことが起きている。「テロ国家」「テロ集団」「力による現状変更の試み」「集団的自衛」といった言葉は、まさしく「男・オスの本質」によって起きている状況をオブラートに包むようにして言い表しているにすぎないのである。