2014年1月6日月曜日

20140106意識と仏教(17)――吾ら日本人は何処から来て何処に行くのか?――

竹田恒泰著『古事記完全講義』(株式会社 学研パブリッシング)に大東亜戦争終結後戦勝国側が取った態度についてこう書かれている。(<>内)

<連合国は本当はね、日本精神をブチッてその場で根絶やしにしたかったんですよ。でもそれはできない。いきなり破壊しようとすると反動があるから。・・(中略)・・少しづつ熱くなるから。で、「あれ? あれ? 熱くなってきたぞ。 なんかやばいぞ! やばいぞ! ああっ!」ってなったときには、もう体は動かない。そして茹で上がる。これ「茹でガエル症候群!」(笑)。 要するに、“百年殺しの刑”をかけられたんですよ、日本は。>

西暦660年、百済(古代、朝鮮半島南部の西側にあった国)は唐(当時の中国の王朝)に滅ぼされた。好太王碑(広開土王碑)の碑文にあるように日本人は朝鮮半島に進出していた。日本は百済の遺民とともに百済を復興させるため西暦663年に42000人の軍を白村江(現在の韓国の錦江近辺)に送り込んだ。其処に海上から唐の軍、陸上から新羅(古代、朝鮮半島南部の東側にあった国)の軍が襲ってきた。日本軍は大敗しそれまで約400年間続いた朝鮮半島における権益をすべて失ってしまった。

それ以来日本人はこの日本列島の中で比較的安全に暮らしてきた。しかし今日この日本列島は日本人にとって必ずしも安全な場所ではなくなってきている。今振り返れば大東亜戦争は、日本が欧米の侵食を受けていたアジア諸国を解放するための戦争であったと同時に、日本列島の安全を確保するため日本人が死にもの狂いで戦った戦争でもあったのである。戦争の相手がアメリカ・イギリスなどであったから戦争に敗けたが結果的には良かった。もし仮にこの戦争が日本と中国・韓国との間で行われ、日本が敗けたとすれば日本はどんな状況になっていたことだろうか?アメリカは日本人の強さの根源が何処にあるかを知り、日本との戦争に勝利したが日本の国体を破壊することはしなかった。

天皇・神社・仏閣・伝統・文化・慣習など日本人の「体外遺伝子」は非常に強固である。アメリカは日本との戦争に勝ったあと日本人の精神構造を変えるための方策を実行した。その方策は結果的に日本人の「体外遺伝子」を弱体化させることに成功した。東京裁判により日本の指導者を処刑すること、教育勅語を廃止させること、そして教育制度を変えることにより数世代を経るような非常に長い時間をかけて戦前の日本人とは別の精神構造をもつ日本人を増やすことなどがその方策であったと思われる。日本人は自虐史観に陥った。

 日本は天照大神を先祖とし2600年以上男子の一系で途切れることなく続いてきた血統の天皇家が日本中の各家々の宗家のように敬われている国である。日本には各地の至る所に神社があり、お地蔵さんがあり、道祖神を祀る祠がある。人々は八百万の神々を敬い合掌して願いごとが叶うようにと祈る。仏教の行事が庶民の暮らしの中に深く根付いている。キリスト教やイスラム教も日本の社会の中に融和している。そういう国は世界の中で日本だけである。

 そのような日本を中国と韓国は敵視している。日本は中国や韓国と良好な関係を築こうとして寛容と忍耐と礼節の精神でこれらの国々に接してきた。しかし戦後68年経ても日本とこれらの国々との関係は改善されていない。この状況は今後何世紀経っても変わらないであろう。古来日本と中国・韓国との関係は良くなかった。日本人の先祖は中国大陸での生存競争に敗れたが日本列島で生きのびてきた。中国人・韓国人の無意識の中には日本人をこの日本列島からも駆逐してしまいたいという願望が潜んでいるのかもしれない。

アメリカはそのような状況をどう見ているのだろうか? アメリカは自国の利益を得るため日本と中国・韓国の間の緊張関係を利用しているのではないだろうか? アメリカは約160年前日本と出合った。そのとき以来アメリカは日本を自国の富と利益を増進させるため徹底的に利用することを考えたかのように見える。アメリカは日本を自国の支配下に置くため、日本と中国・韓国の間の対立を利用することを思いついたかのように見える。

2010年に民主党が政権をとった。民主党は女系天皇への道を開くための女性宮家創設・夫婦別称制、外国人参政権・人権擁護という美名のもと個人が特定の政党の活動者を批判できないようにするための法制度などを推進しようとした。民主党は綱領に沖縄の独立を視野に入れた文言を並べた。これらの状況は戦後アメリカの日本に対してとってきた政策の結果起きたことである。先般安倍首相が靖国神社に参拝したことについてアメリカ政府は「失望した」と発表した。その一方で日米同盟に揺るぎはないことも強調した。中国と韓国はこれを好機ととらえ安倍首相の靖国神社参拝について激しく攻撃している。中国と韓国は日本固有の領土である島を自分たちの領土であると勝手に宣言し、その囲い込みのための線引きをして世界に向けて宣伝している。

アメリカは日本に対して盛んに「日本は中国や韓国との関係をよくするように」と要求しているが、日本も中国や韓国と良好な関係を築きたいと心から願っている。しかし日本は日本人が依って立つところの源となる日本人の精神をねじ曲げてまでして中国や韓国に対して媚を送るようなことは決してしない。天皇・神社・鳥居は日本人の心の深奥にある「日本人の自己」そのものである。靖国神社には天皇陛下の軍(皇軍)として日本の国体を護り、父母・妻子・弟妹達を護るため戦地に赴き、戦友に「靖国神社で会おう」と笑顔で言って戦火に散華していった兵士たちが祀られているのである。安倍首相が靖国神社を参拝したことについてアメリカ人には日本人の心の深奥にあるものについて是非理解をして頂きたいものである。

 中国も韓国も日本に対して「歴史認識」を強要することは止めて貰いたい。いかなる国であろうと国と国同士はお互い自らの歴史を顧み、相手の立場を尊重するようにしなければ決して平和は達成されないであろう。日本人は我慢に我慢を重ね、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んでいる。そのようにしていても日本人はこの日本列島に生き残れないという絶望的な状況になった時には、日本人は自分たちの先祖の霊魂と語り合って最後には死ぬ覚悟で立ち上がるだろう。それがこの日本列島に生き残ってきた縄文人と渡来系弥生人の混血の子らである我々日本人が心の深奥に抱いている大和魂なのである。

   一片の詩「我ら日本人は何処から来て何処に行くのか?」

われわれの祖先縄文人は大陸で生き残れなかった。
しかしこの日本列島にやってきた縄文人は生き残ることができた。
この日本列島には縄文人を脅かす人々はいなかった。
縄文人は木の実も種子も魚も貝も豊富に手に入れることができた。
縄文人はこの日本列島で平和に暮らしていた。
縄文人はこの地で世界最古の石器文明・世界最古の土器文明を築いた。
縄文人は畑で稲を作る技術をもっていたが稲米を主食にはしなかった。
縄文人の主食は簡単に手に入る木の実・種子・魚・貝などであった。
これらの食物は四囲海に囲まれた日本列島の山野・海岸で容易に手に入った。

揚子江(長江)中流域に黄河文明より1000年も古い文明が開かれていた。
長江中流域の人々は世界最古の水耕稲作と漁労に長け航海術も身につけていた。
4000年から3000年前にかけて気候の寒冷化・乾燥化が起きた。
長江中流域に北方から畑作・狩猟文明をもつ人々の集団がやってきた。
稲作・漁労と畑作・狩猟の二つの文明は長江中流域で対立しつつも融合した。
しかし稲作・漁労の一部の人々は圧迫から逃れ遠い山間部に移住した。
他の一部の人々は圧迫から逃れ長江河口から日本列島に渡って来た。
舟で直接九州南部に渡って来た人々、沿岸・半島伝いで渡って来た人々がいた。
日本列島に辿り着いた人々は沿岸伝い・島伝いで日本各地に広がって行った。

長江河口から日本列島に渡って来た人々は先住の人々と出合った。
先住の縄文人と渡来の弥生人とは互いに争わず仲良く暮らした。
縄文人と渡来系弥生人とは共生し混血し今の日本人の先祖になった。
その先祖は古墳時代人と呼ばれる人々である。

古墳時代人は朝鮮半島に進出し朝鮮半島に稲作・漁労文明をもたらした。
朝鮮半島南部は渡来系弥生人が日本列島に渡る前に通った土地である。
古墳時代人たちはその地で生き残ることはできなかった。
日本列島だけは古墳時代人の子らが安心して暮らすことが出来る場所であった。

しかしこの日本列島も日本人が安心して暮らせる場所ではなくなって来つつある。