2014年6月24日火曜日

国家は一つの生物種である(1)(20140624)

 
私のブログ『吟詠』( http://takaban.seesaa.net/ )に吉田松陰の『辞世』を投稿した
(吉田松陰『辞世』:http://takaban.seesaa.net/article/399979435.html
 松陰は嘉永5年(1852年)12月、松陰23歳のとき亡命の罪によって士族の身分(士籍)と俸給(世禄)を奪われて以降安政6年(1859年)10月に江戸伝馬町獄舎において斬刑に処せられるまでの約7年間、実に尊皇愛国一途の日々を送っている。その7年間において実に2年間は獄舎に在り、3年間は松陰の実家・杉家における禁錮扱いにされていた。松陰は獄舎に在った時も禁錮の期間も尊皇愛国の精神を貫きとおし、著作と後輩に対する教育に熱情を注いでいた。
 
 国家を生物種の一つであるとみなせば、日本国は国家として国際的環境その他の諸状況の中で自存しようと行動してきたし、現在も自存を目指して行動をしていると観ることができる。生物種としての日本国の‘DNA’はヒトのDNAと同様に絶えず突然変異をくり返しながら現在に至っている。その日本国の‘DNA’の突然変異の過程において、日本国を取り巻く様々な環境や状況に適合できたものが存続し、現在に至っている。ここでいうDNAとは学術的なDNAのみならず、日本の伝統・文化・精神を含めた概念としてのDNAである。ゆえに本稿では括弧付で表現する。

 生物種としての日本国の‘DNA’のうち最も重要な部分は①天皇・②鳥居に象徴される日本独自の文化・③日本の祭りに象徴される日本独自の伝統・④日本人にのみ独自の縄文人の形質・⑤長江中流域を出発して遼東半島から朝鮮半島南部を経由して九州北部に渡来したグループ及び長江河口から東シナ海を横断して九州南部に辿り着いたグループからなる渡来系弥生人の形質・⑥縄文人と渡来系弥生人との混血により形成された現在の日本人の形質と日本独自の文化と伝統・⑦大陸と陸続きでなかったことにより醸成された日本人に特質的な精神などである。

 松陰は自分の実家である杉家において禁錮の身にあった間、許されていたのは教育活動と執筆活動であった。松陰は日本とアメリカとの間の通商条約について憂い、幽囚の身にあって唯一自由な筆を駆使して『対策一道』という題名の論文を著し、藩当局に提出した。その書に次の一節がある。(“”内に示す。)
 “今日の事、弘安と承久・元弘と似て而(しか)も大いに同じからざるものあり。蒙古(もうこ)は兇威(きょうゐ)を逞(たくま)しくする者なり。墨威(ぼくゐ)は実利を謀(はか)る者なり。戰を以て人の國を屈するは蒙古の計なり。辞を以て人の國を奪ふは墨威の謀(はかりごと)なり。(現代語訳「今日の事は、一見、弘安の役や承久・元弘の変といったものと非常によく似ておりますが、しかしその実、随分と違っています。蒙古はもっぱら暴力による勢いが強く、アメリカは現実的な利益を考えています。戦争によって他国を征服するのが蒙古のやりかたであり、言葉たくみに他国を侵略するのがアメリカのやりかたなのです。」”(講談社学術文庫『吉田松陰著作選』(奈良本辰也)より引用。)


 地上のあらゆる生物には自存力が備わっている。今日、生物種としての日本国は、同じ生物種としてのアメリカ合衆国と同盟関係にあるが、大陸の中国や韓国とは良好な関係にはない。生物種としての日本国に対する脅威は今日では陸続きであろうとなかろうと関係なく、生物種としての中国や韓国から激しい干渉を受けている。これは生物種としての中国や韓国が必然的に自存の行動をするからである。もし松陰が生きていたならこの状況をどう思うであろうか?(続く)