2014年6月29日日曜日

国家は一つの生物種である(2)(20140629)


 K・ローレンツは『文明化した人類の八つの大罪』として①人口過剰(社会的接触の過多から攻撃性が増大)・②自然破壊(資源の枯渇・自然への畏敬の念の喪失)・③競争の激化(国家はあたかも異なる生物の様)など八つを挙げている。本稿の題名『国家は一つの生物種である』はこれにヒントを得たものである。私の平均的余命は10年プラスマイナスX年である。私はこの余命の間、私の最期までこのテーマについて大学で勉強しながら研究し、思索し、一つの論文として書き続けて行こうと思う。

 前回、日本国の‘DNA’の突然変異が繰り返されていると書いた。「国家は一つの生物種である。国家にも括弧付のDNAがある」という私の主張に対して、多分多くの人は一顧もせず、或いは「無学な年寄りの戯言である」と一蹴することだろう。しかし、私は大真面目でこのテーマを掲げ、遊び半分で私の持論をこのブログ上に展開して行こうと思う。

 私のやり方は「考えながら歩き、歩きながら考え、何かアイデアが閃いたらそれについて書いてゆく」というスタイルなので、論文の筋立てが予め決まっているものではなく、また主張を展開するにあたり前提とする事項や思考過程などを予め記述することもしない。しかし私はその思考過程に関わる幾つかの事項を列挙し、それについて私の持論を述べることをもってこの論文の記述を始めようと思う。

1 人体と国家の類似性
  頭脳と政府、血管網と交通網、神経系と通信系など両者の間には類似性がある。人体を構成する個々の細胞の活動と国家を構成する個々の国民の活動の間にも類似性がある。人体の中でDNAが転写され翻訳されて人体が持続するように、文化が守られ伝統が継承されることによって国家が継続する。人が武器を所持し、これを上手に使いこなすことによって他人から暴力を受けても自分の身を守ることができるように、国家も軍事力を持ち、これを遺憾なく発揮させることができるように準備しておくことによって、外国から武力攻撃を受けてもこれを撃退させることができる。悪人は強い人に対して手出ししないように、他国の領土を奪おうとする国家は強い国家に対しては手出しをしない。

2 人体と武装集団・暴力集団の類似性
  武装集団・暴力集団は公共の交通網を持たないが独自の交通手段を持っている。国家が一つの生物種であるとすれば、武装集団・暴力集団は国家に寄生する反国家的・反社会的生物種のようなものである。

3 突然変異
  最新の科学的知見によれば、「①あらゆる生物のDNAにおいては、その転写・翻訳の過程である確率で突然変異が起きている。②その突然変異は生物の進化にとって有利な場合であるよりむしろ不利な場合が多い。③中立な突然変異は中程度の頻度で起きる。④その生物にとって有利な突然変異が起きたとき、その突然変異はその生物の集団に固定する可能性が高い。」ということである。

4 国家の‘DNA’(前回示したように学術的な用語であるDNAと区別して‘’付けする。)
  国家の‘DNA’はその国家の成立に関わった様々な要素が関わって醸成され、国家の性格・文化・伝統などを特徴付けるものである。日本国家の場合、前回示したように天皇・鳥居・祭り・縄文人の形質・渡来系弥生人の形質などの要素が関わって、聖徳太子の「和(やわらぎ)を以て尊しと為し、忤(さか)らうこと無きを宗(むね)とせよ」・五箇条の御誓文の「広く会議を興し万機公論に決すべし」・吉田松陰辞世の「大和魂」など日本人の精神を特徴付けている。

ティータイム
 日本の交番(KOBAN)制度はブラジルに定着し、広まっているという。これはブラジル国家の‘DNA’に新たな要素が書き込まれたことになる。これが転写・翻訳されて継続するか、消滅するかは、ブラジル国家がKOBAN制度を今後どう考えるかによる。
 「韓国起源説の一覧」というWikipediaページがある。そのページには日本固有の文化など日本の事柄が韓国に起源がるとする主張と、それらの主張に対する個別の反論が記載されている。韓国に起源があると主張されている日本独自の事柄は驚くほど多い。天皇・八咫烏・神社・神輿・祭り・日本語なども韓国に起源があると主張されている。勿論それらの主張に対して明快な反論も記述されている。
当該Wikipediaページには日韓併合時代に日本から韓国に伝わった剣道・柔道・合気道・空手などの武道や、日本独自の精神文化として昇華された華道・茶道などが韓国に起源があるとする主張とその主張に対する反論の記事が出ている。そのうちにKOBANも韓国に起源があるとする主張がでてくるかもしれない。国家として断固とした態度で自国の文化や伝統を維持することは、生物種としての国家が生き残ってゆくために非常に重要なことである。
あらゆる生物が自存し、生き延びようとしているように、世界中のどの国家も自存し、生き延びようとしている。そのため一つの国家と他の国家の間で摩擦が生じ、戦争が起きる。力の差が平和を破壊する。これはどうしても避けられないが現実である。

生物種である国家が自存し、生き延びるためには自らの力を強くするとともに、他の友好的な国家と協力し合って総合的な力をより強くするしか道はない。イワシの大群は群れをなして自らを外敵から守る。わが国の憲法前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」するだけでは、わが国は自存し、生き延びることはできないのが現実である。