2014年8月21日木曜日

20140821国家は一つの生物種である(7)―― 国家間の対立・相克の原因 ――


 テレビ朝日のモーニングバードに出演している玉川徹氏の韓国レポートによれば、韓国人は日本人が好きであるが心の深奥では嫌いであるという。(関連:『国家は一つの生物種である(6)――  反日システム ――』

 『韓国併合への道 完全版』を著した呉善花氏は、「韓国人は反日の前に侮日の感情がある。韓国人が日本人を嫌いなのは韓国人と日本人が似ているからである」という趣旨のことを語った。日本と韓国は近くて遠い国同士である。何故そういう関係なのだろうか?

 日本と中国の関係について考えてみる。『本当は謎がない「古代史」』を著した八幡和郎氏はその本の中で「中国の呉越地方は日本人のふるさとである。卑弥呼の手紙は洛陽で書かれた。その内容も洛陽の政府に好ましく受け取られるように中国で書かれた」と書いている。古墳時代の人々は縄文人と渡来系弥生人が混血して生まれた人々で、当時の日本の各集団の指導者は呉越地方を故郷とする当時の中国人とすでに日本列島全域で高い文化を築いていた縄文人との間の混血の子孫であった。女王卑弥呼もその一人であったに違いない。その後日本の指導者層の人たちは多くの子孫を残した。その子孫は日本全国に拡散した。現在殆ど総ての日本人の形質や能力などにはその一部を受け継いだものがある筈である。今後数世紀以内にDNAの拡散は一層進み、日本人の容貌や体つきなどはさらに多様化してゆくに違いない。(関連:『発掘された人骨から復元した原日本人の顔立ち(20120505) 

 日本と中国・韓国との間の対立・相克の根本原因は何なのか?遺伝子の違いが影響しているのだろうか?それとも歴史・体制・文化・伝統などの相違に根本原因があるのだろうか?或いはその両者なのだろうか?

誰でも入手できる範囲の諸資料によれば、日本民族・中国民族・韓国民族のY染色体DNAのハプロタイプは下記のように共通のものもあり、全く違うものもある。
    タイプO3系の人の割合は中国人には圧倒的に多く、韓国人にもかなり多く、日本人には少しである。但し日本人にはO3a1c*O3a2*が分布している。彼らは縄文後期に日本に渡って来た人々のハプロタイプであると考えられている。
    タイプO2系の人の割合は中国人にはゼロ、韓国人と日本人にはほぼ同程度にやや多い。このうちタイプO2b1aは殆ど日本人のみに分布しているようである。
    タイプD1系(旧タイプD2系)の人の割合は中国人にはゼロ・韓国人には殆どゼロ(済州島の人々にごく僅か分布)で日本人の半数近くにはこのタイプがある。特にアイヌの人々には圧倒的に多い。その人々の形質の特徴の一つは二重瞼である。
    タイプC1a1(旧タイプC1)は日本人のみに分布している。

縄文人を特徴づけるミトコンドリアDNAのハプロタイプはN9bM7系・ M8系である。N9bは日本人のみのタイプであり、北海島から沖縄まで日本全土に分布している。特に北海道と沖縄の人々の間に多く分布している。またM系のM7aも同様な分布をしている。日本列島以外では韓国やロシアの沿海州で僅かに確認されている。このM系のパートナーがY染色体DNAのハプロタイプD1系であれば彼女らは中国大陸では生き残れなかっただろう。彼女らはパートナーがY染色体DNAC1a1(旧タイプC1)・O3a1c*O3a2*であった彼らと一緒に日本列島にやって来たと考えられる。

日本人はY染色体DNAのハプロタイプD1系及びミトコンドリアDNAのハプロタイプはN9bM7系・ M8系の縄文人とY染色体DNAのハプロタイプO2系の渡来系弥生人を主体とする混血人種である。日本人の血には上記のようにC1a1(旧タイプC1)・O3a1c*O3a2*の血も混じっている。日本人と中国人・韓国人とは形質的に似ている部分と似ていない部分がある。これは上記のようにDNAのハプロタイプの違いによるものである。

渡来系弥生人は今から約3000年前から少しずつ日本に渡ってきたと考えられている。そのルートは長江流域から北上し山東半島・朝鮮半島南部を経て北九州に辿りついたほか、紀元前400年頃からは長江河口から舟で直接沖縄・九州南部に渡って来た人たちもいたと考えられている。彼らは『古事記』にある「海人」「海神」としてシンボル化された人々であって、漁撈・航海の技術に長けた人々であったのだろう。考古学的資料から彼ら渡来系弥生人の先祖は長江中流域で黄河文明より1000年古い文明を築いていたと考えられている。

中国は人口の90%を占める漢族のほか55の少数民族から成る多民族国家である。しかし中国人の間に占めるY染色体DNAのハプロタイプO3は漢族が中国人全体に占める割合よりずっと低い。これは中国の長い歴史の間に漢族と周辺種族との混血が進んで来た結果であると考えられている。


DNAには深層心理にかかわる情報があり、そのDNAの発現は環境の変化に応じて選択的に行われると考えられないだろうか?日本人と中国人・韓国人の間に親近感とともに根深い対立・相克の感情がある。これはDNAの違いが影響していると考えるのは考え過ぎだろうか?人間は理性を持っていると言っても人間は動物界のヒト種である。国家は人間による集合であると同時に動物界のヒト種の集合であると考えるならば、国家はごく自然に動物と同じような利己的な行動をするものでもあると言えるだろう。