2014年12月16日火曜日

20141216国家は一つの生物種である(16)―― 動物の性格・人間の性格・国家の性格 ――


  性格は遺伝子の発現によるものである。凶暴な性格もおとなしい性格も遺伝子の発現によるものである。遺伝子を変えなければ性格を変えることはできない。しかし人間は教育・訓練・自己修養によりその行動を変えることはできる。凶暴で人を殺した者でもあっても、ある時から他者を思いやり、自らを犠牲にして他者を救うため行動するようになることがある。

 あらゆる動物は他の生物を食べて生きている。信仰上の理由から特定の生物を食べない人たちでも自分以外の他の生物を食べてなければ生きて行けない。あらゆる生物は遺伝子の発現により、その誕生時から生殖・存続・自己保存の動きをする。生物の頂点に立つ人間も同様である。

 人間はその遺伝子の99%を他の生物と共有しているが、残り1%の中に「意識」に関わる要素が込められている。「意識」は「霊魂」である。「意識」は時空を超越し、広大無辺、自由自在、融通無碍である。人間の行動の本質はその「意識」により、自分自身にとって何か価値があると考える物事、但しその善悪は問わない物事の存続・保存を願うところにある。

 人間の集合体である国家・社会・又はある目的を持っている集団はその構成員の「意識」の集合である「性格」を持っている。国家・社会・集団はそれぞれ「性格」を持っている。それゆえ国家・社会・集団は「生き物」と同じようなものである。それらは生物の頂点に立っている人間が作っているものであるから、場合によってはライオン・虎・狼などの猛獣よりも恐ろしいものもある。彼らはその国家・集団の戦士として武器を脅迫・殺害のため使う。

 国家の「性格」はその構成員に大きな変更がない限り変わらない。しかしその「行動」は国際社会からの圧力・その国家自身の自己啓発などによって変わることはあり得る。しかしそれは非常に困難なことである。

 国家は「生き物」である。国家は存続・自己保存のため生物の共生関係のような異なる国家同士で連合・連帯・同盟することもある。しかし国家の「性格」が合わないもの同士での連合・連帯・同盟は必ず破たんするだろう。EUは「性格」が合うもの同士の共同体である。


国家の存続・自己保存のため重要な要素は富である。たとえ「性格」が合わない国家同士であっても富を分かち合うため契約することは有意義である。日本は「性格」が合わない国と有意義な経済関係を結んでもその国との間でEUのような共同体を志向すべきではない。