2017年9月8日金曜日

20170908ゆで卵


 久しぶり福岡に住む10歳年長のKさんに電話した。Kさんは最愛の奥様を亡くされて久しい。彼はその間ずっと奥様のことを思い続けながら独り暮らしをされている。電話口で元気な声。彼は相変わらず達者にしている様子なので安心した。

 男はKさんの話を良く聞く気持ちがあるので、いつものとおり長電話になった。一般に女性は長電話をするので、男が女性のように長電話することについては多少自嘲的な気分になる。しかし男はKさんの話を聞くと参考になることが多い。

Kさんは何事にも興味を持ち研究心が旺盛である。この夏Kさんは脚の筋肉が固まって痛む‘こむらがえし’という症状が出たが、Kさんは毎朝2時間脚の筋肉をほぐす運動をしたらその症状が出なくなったそうである。90歳のKさんは自分の身体を鍛えるため毎朝2時間の自己流の鍛錬を欠かさずに続けているという。

 Kさんは‘小米’という食用にはならない玄米を2俵、亡くなった奥様の実家から貰っているという。Kさんはその‘小米’を庭先に来る雀たちに与えているという。Kさんの話によれば、鳥は卵から孵化したとき傍にいるものを自分の親と認識するらしい。そこでKさんは鶏の有精卵を自宅で適温環境下に置いてその卵を自分の目の前で孵化させて観たいという。彼はその雛を手乗り文鳥のように育てて、その鶏を肩に載せてその辺を歩いてみようと言う。男は以前、あひるを連れて近くの堤防の上を歩いている人を見たことがあった。そのあひるも卵から孵化するとき、その人がその卵の傍にいてそのようになついたのかな?

 Kさんは男に茹で卵の製法を語ってくれた。彼は冷蔵庫から卵を取り出し室温と同じになるまで放置し、その上でその卵を9分間ほど茹でる、そうすると卵の黄身が丁度良い柔らかさになるという。男は早速その製法にしたがって卵を茹でてみた。結果大失敗。まだ卵が程よい硬さになっていず、全体が液状に近かった。女房はそれを見て笑う。Kさんも茹で加減については何度か試行錯誤を重ねると良いとは言っていた。昨日は大失敗したが、今朝は7割ていどの出来栄えだった。明日はもっと上手くゆくだろう。

 人生の道をKさんは男よりも10年先を歩んでいる。男はKさんから学ぶことが多い。しかし男はKさんのような独り暮らしを絶対したくない。男は今の幸せが最期まで続いて欲しいと強く思っている。

女房は男に「私より先に死なないでね」という。長年連れ添った夫婦でも最期はどちらかが独りになる。それまでは天から与えられた寿命を全うするように良く生きることが大事である。そして最期にはよく死ぬように日ごろから心構えをしていることが重要である。