2015年1月20日火曜日

20150119国家は一つの生物種である(21) ―― 日本人殺害予告報道に思う ――


 我々の脳は外からの有害な刺激に対して我々自身の意識よりも先に反応し、必要な指令を発して我々の身体を防御しようとする。そのような無意識的防御システムとは別に、我々は自分自身の頭脳を働かせて意識的な防御システムを作り上げている。

 我々人間が作り上げている国家にも無意識的な防御システムと意識的な防御システムがある。無意識的な防御システムは政府の指示なしに勝手に作動しているものがある。括弧(“”)で示す次の記事は産経新聞インターネット版から引用したものである。アメリカ議会におけるこのような動きはそのような無意識的な動きなのか、或はアメリカ政府が議会に対して暗に意図的(意識的)に働きかけている結果起きていることなのか?

日本から見れば議会も政府も同じで、「アメリカは日本に対して不愉快なことをしている」ということなる。そのような日本人の気持ちはアメリカ人にはなかなか伝わらない。日本の政府は日本への理解を得るためアメリカの政府と議会に対して最も巧みな説明と最も強い情報発信を積極的に行うべきである。「政府は何をやっているのだ」といういら立ちを禁じ得ない。

 “【ワシントン=加納宏幸】米議会調査局は今月、日米関係に関する報告書を発表し、戦後70年に絡む安倍晋三首相の言動が日本と近隣諸国の関係を左右すると指摘した。しかし、報告書は首相を「強烈なナショナリスト(国粋主義者)」「歴史修正主義的」と決めつけ、名前が明らかでない「評論家」の意見を記述の根拠とするなど、歴史認識をめぐる項目については問題点も少なくない。

 13日に公表された報告書は、戦後70年の首相談話を扱った項目で慰安婦問題に言及。「複数の評論家」の主張として「安倍政権は日本が強制的に女性を性奴隷にしたとする、広く行き渡った理解を変えようとしている」として、慰安婦が性奴隷であり、「強制連行」されたとの説に沿って記述されている。”

 いわゆる「イスラム国」に日本人二人が拘束され、殺害されそうになっている。拘束された理由として「イスラム国」が言っていることは、“日本がアメリカに加担して2億ドルの資金を出したため、自分たちが苦しみを受けている”という趣旨のことである。

 もし日本が軍事的に強大な国であり、日本の防衛をアメリカに全く依存しない国であり、日本が国際協調も必要とせず独自に平和と繁栄を達成できる国であるとするならば、日本はテロに苦しめられている人々への人道支援のため全く独自に行動しただろうか?

 アメリカといえども自分の国だけで自国の平和と繁栄を達成することはできないだろう。アメリカは日本との同盟を望んでいるのであるならば、アメリカの‘頭脳’であるアメリカ政府は上記報道記事にあるような議会の勝手な動きを抑える責任がある筈である。


 戦後平和を謳歌してきた日本も目覚めなければならない。一市井の無学の孤老がぼやくのではなく、日本の未来に直接責任がある現役の日本人に行動を起こしてもらわなければならぬ。さもないと日本の未来の平和と繁栄を願いつつ戦陣に散っていった方々に対して大変申し訳なかろう。