2017年7月9日日曜日

20170709縄文人


男はGoogle Chromeに置いたフォルダーに『NHKスぺシャル「日本人はるかな旅」』・『DNA解析で見る日本人のルーツ』・『日本人のルーツ「シベリヤ」』・『未来を創る科学者達「(6)遺伝子に隠された日本人の起源」』など30余りのYou Tube動画のタイトルや総合研究大学院大学が昨年秋に発表したプレスリリースなどのブックマークを収めている。

Y染色体遺伝子のハプロタイプDを持つ縄文人は狩猟用の優れた石器文化を持ってこの日本列島に北方から渡って来た。一方、南方からも丸ノミ石斧(せきふ)製造の技術や航海の技術を持っていた人々が黒潮に乗ってこの日本列島にやって来た。彼らはミトコンドリアDNAハプロタイプM7aの人々であり、縄文人たちと混血したと思われる。彼らが持ち込んだ丸ノミ石斧(せきふ)は樹木の伐採等に役立つ新たな石器の道具の製造に役立った。

このようにして縄文人たちはこの日本列島の北海道から沖縄までの島々で今から16000年前から3000年前までの約13000年間にわたり、日本各地の森の中や平地で集落を作り、狩猟・採集の平和な暮らしを続けていた。縄文人たちは世界最古の土器を製造し、当時としては先進的な石器を製造してそれらを使いこなしていた。縄文人が文字を持っていたかどうかはわからないが、縄文人は世界最古と言っても良いほどの文明を日本列島で築き上げていた。そのような事実がわかる遺跡が最近日本の各地で次々に発見されている。そこで発掘された人骨・土壌・種子等が自然科学的手法で分析・研究され続けている。

従来、塩基が約16千個のミトコンドリアDNAの解析結果により縄文人のルーツが論じられていた。ところが1950年代に福島県の三貫地貝塚で縄文時代の人骨が100体以上発掘され、その人骨の歯から塩基が約30億個もある核DNAが国立科学博物館によって解析された。その結果、縄文人のY染色体DNAの配列が明らかになった。別の研究機関(佐賀医科大学・国立遺伝学研究所)でも縄文人の人骨に残っている歯のDNAが解析された。比較研究結果、縄文人29人中17人のDNAがシベリアの先住民ブリアート人のものと一致した。一方、韓国・台湾・タイの人とのDNAの一致はそれぞれ一人だけしかなかった。

縄文人はY染色体DNAハプロタイプがDの人々であった。タイプDはタイプA・B・Cとともに人類がアフリカから出発した初めの頃に分岐したタイプである。タイプAとタイプBはアフリカ人のものである。タイプCは日本固有のタイプC1a1として存在している他、ほかオーストラリア・オセアニア先住民とモンゴル人・アメリカ先住民などに見られる。

Y染色体DNAのハプロタイプDの人々は日本列島の他、チベットとインド洋のアンダマン諸島にしか存在していない。地域によって大きな差があるが現代の日本人にはY染色体DNAのハプロタイプDが30%前後分布している。日本人の容貌・瞼(まぶた)・頭髪等形質の何処かと性格・知能・身体能力等の何処かに代々親から受け継いだ縄文人の遺伝子の発現がある。これが日本人と他の東アジア人との違いをもたらしている。アイヌの人々や沖縄の人々は縄文人の特徴を多く残しているがルーツが全く同じ日本人である。

紀元前4000年頃地球の寒冷化が起きた。中国大陸の北方で畑作・狩猟の生活をしていた人々が南下して来て、長江中流域で稲作・漁労の生活をしていた人々を圧迫した。紀元前3000年頃、長江中流域で稲作・漁労の生活をしていた人々はこの圧迫を逃れ、一部の人々は雲南省の山岳地帯に移住した。他の人々は長江を下り、河口から東に漕ぎ出て九州南部に辿りついた。一部の人々は北上し、山東半島を経由して朝鮮半島南部に渡り、更に九州北部にやって来た。彼らは縄文人たちと混血し、各地で新たな文化圏を作っていたと思われる。

紀元前300年頃、中国大陸での戦乱(周末期の戦国時代)から逃れて非常に多くの人々が日本に渡って来た。その時縄文系の人たちとの間で衝突が起きて多くの死者が出た。この縄文系の人たちは長江中流域から逐次渡来してきて縄文人と交流し、混血も進んでいた人たちである。しかしこの衝突は一時的で、その後は縄文系の人々と新たな渡来人たちは住み分けて共存しつつ、互いに交流し混血して行った。

その後、西暦219年の後漢滅亡後と西暦633年の百済滅亡後に非常に多くの人々が日本に渡って来て天皇から姓・位階・耕作地・職などを与えられた。日本書紀にその事実が記録されている。地域によって差があるが、日本人のY染色体DNAでハプロタイプO型の人が50%前後含まれているのは日本人の先祖に上記のように大陸から渡来してきた人々がいたからである。人は両親から半分ずつの遺伝子を受け継ぐので、現在を生きる日本人の遺伝子は非常に多様である。その多様性は世界一である。

日本人種は多人種の混血種である。2000年以上にわたり男系の皇統が継続している日本では天皇の権威が多人種混血種の日本人を束ね、日本を単一の民族国家にしている。このことを日本人は良く自覚しなければならない。