2017年7月31日月曜日

20170731朝顔の花


 男は朝のウオーキングのとき道端の幾つかの花を手折って持ち帰った。男はポケットガイドブック『野の花』によりその花の名前を調べた。何時も目にしている花の名前を知って男は「判ったぞ。あれはアカツメクサ(赤詰草:Trifolium pretense)、またの名をムラサキツメクサと言うんだ」と女房に言った。彼女は男の話にいい加減に耳を傾けながら、しきりにスマートホンで何か調べている。彼女は朝の中に変種の朝顔を観るため日比谷公園に行くつもりである。しかし彼女は朝顔が曇天でも開くかどうか心配しているのである。

 男は毎朝早く川の周りをウオーキングするようになって、道端の植物に興味を持つようになった。そこで男は本屋でそのポケットブックを買って来たのであった。その本で調べて判った花の名前はそのアカツメクサ(赤詰草:Trifolium pretense)とアレチマツヨイクサ(荒地待宵草:Oenothera biennis)である。道端に咲く野の花の名前などを知ることは楽しい。ガイドブックによればアカツメクサ(赤詰草:Trifolium pretense)はヨーロッパ原産で、明治以降牧草として輸入された草の中に混じっていたものが野生化した植物である。アレチマツヨイクサ(荒地待宵草:Oenothera biennis)は北アメリカ原産で日本各地に帰化した植物である。

 これを書いているとき女房から電話が来た。「朝顔の花がとても良かったよ」と弾んだ声である。男も女房と一緒にその変化朝顔を観に日比谷公園に行ったことがある。女房は花が好きで、あちこちに行って花の写真を撮っている。男は女房と一緒に花を観に行くことが多い。しかし男は花が格別好きであるというわけではない。

男は行楽を兼ねて近郊の各地に花を観に行き、女房と一緒に花の写真を撮っている。男は女房のパソコンに当日の行楽先を示すフォルダーを作り、そのフォルダーに当日撮った写真を保管している。女房はそのフォルダー内の写真を取捨選択し、良く撮れた写真をプリントアウトして室内に飾ったり親しい友達に送って上げたりしている。女房が撮った写真はなかなか芸術性が高い。男はそのように評価している。

 男はかつて分子生物学について学んだことがあった。この地球上のあらゆる生物は同根である。パンの酵母も同じである。細胞の中では種を保存するため化学分子が盛んに活動している。細胞の核の中にあるDNAに記録された情報に従いあらゆる現象が起きている。もし意識が量子の動きにより生じるものであるならば、男が道端の草花に意識を働かせるとき、その草花も何か応えているのではないだろうか?

 縄文人たちは自然の中のあらゆる現象に神が宿っていると考えていた。縄文人の子孫である日本人は山の神・川の神・海の神・水の神・巨木に宿る神・巨岩に宿る神・雨を降らせる神・神の使いをする動物などなど、畏(かしこ)まるべき対象に向かって合掌し、祈願する。日本中に見かける鳥居はそのように畏まるべき対象が宿っている場所に行くときくぐる門である。

天皇は宮中にあって、常に日本の平和・世界の平和を祈っておられる。畏(かしこ)まるべき対象である神に対しする「祈り」は、その神との間で「意識」のようなものが通い合うのかもしれない。それは実際に体験した者にしか理解できないことなのだろう。昔、蒙古来襲のとき二度も暴風雨があり、日本は救われた。それは天皇の祈りのお蔭だったに違いない。

 女房が去年8月に買った2鉢のシクラメンは未だ花を付けている。一年も経つのに不思議である。女房は常にそのシクラメンを手入れしながらシクラメンに語りかけている。「良く咲いていてくれて有難うね」と。かつて男がある詩吟の会で詩吟を学んでいた頃、仲間の女性も同じようなことを言っていた。彼女は家庭の主婦であったが、とても魅力的な女性であった。「男は男らしく、かつ逞しく、女は女らしく、かつ優しい」ことが最も良い。たとえ年老いて、80の齢を超えたとしても。