2016年7月5日火曜日

20160705尖閣諸島領域における中国による軍事的挑発行為


先日、73日の孫崎享(magosaki ukeru)氏のツイートをwebより括弧“”で引用する。“ダッカ事件:元NYTの東京支局長ファックラー氏のツイッター。安倍首相の罪は大きいのです。IS「アベよ、戦いに参加するというおまえの無謀な決断で、このナイフはケンジを殺すだけではなく、おまえの国民を場所を問わずに殺戮する。」”

孫崎氏のツイートには、『21世紀の戦争と平和』(孫崎享、徳間書店)を引用して、“「国家間の相互依存強化を図ることが、戦争を避ける唯一の道」など、ヒントになる視点が満載です。”というものもある。

先ず、前に挙げた「安倍首相の罪は大きいのです」と言う言葉は、一般大衆の感情に訴える言葉である。わざわざISの言葉を引用して、安倍首相の罪が具体的な何なのか論理的な説得もせず、ただ聴衆の感情に訴える手法は民進党や日本共産党や社民党がよく使う手法と同じようなものである。

次に「国家間の相互依存強化を図ることが、戦争を避ける唯一の道」という言葉は、唯一かどうかは別にして、一応説得力はあるように見受けられる。「国家という‘生物’」は競合する他の「国家という‘生物’」とお互い自存のため争い合う。争いの対象についてお互い良く話し合い、利益を分かち合うことができれば戦争を避けることができるだろう。しかし、孫崎氏の言っていることは理想論である。彼は、「国家という一種の野性的な‘生き物’である」という本質を全く頭に入れていないようである。

中国は公然と、『琉球復國運動基本綱領』で、「琉球は古来より主権を持つ独立国家である。琉球人民は日本の琉球群島に対する植民地統治を承認しません。琉球国の主権と独立と領土を完全に取戻し、琉球共和国を建設します」と言い、尖閣諸島・奄美諸島・沖縄諸島・宮古諸島・八重山諸島などを占領する意図を持っている。≪関連:中国が用意している「沖縄占領憲法」(20120402)
http://hibikorejitaku.blogspot.jp/2012/04/20120402-will5-httpwww.html

国防大学戦略研究所所長金一南少将は、人民日報ウエブサイトのインタビューにおいて「魚釣島問題において中国側はもっと大きな範囲から着手すべき。」「琉球群島主権問題において譲歩は不可能である。」「琉球群島は中国の属地である。日本は引き上げるべきである」と言った。≪関連:沖縄・尖閣・八重山各列島の防衛(20120803)
http://hibikorejitaku.blogspot.jp/2012/08/blog-post_9400.html

尖閣諸島上空において、中国空軍の戦闘機と航空自衛隊の戦闘機がドッグファイト直前の状況になることは過去にもあったようであるが、先月、617日の緊急発進(スクランブル)で航空自衛隊F-15戦闘機は中国空軍Su30戦闘機からのミサイル攻撃を交わすため火炎弾を発射するなどして空域を離脱した事件があった。中国側は「中国が東シナ海上空に設置した防空識別圏を巡視飛行中の中国空軍機に対して航空自衛隊機が火器管制レーダーを照射した」と主張した。

この防空識別圏は中国が国際慣例を無視して勝手に設定したものである。中国は南シナ海も古来中国の領海であったと主張して、その海域で軍事拠点化の工事を進めている。中国の実質「駆逐艦」・名称と外見上の「公船」は、尖閣諸島の領海に頻繁に侵入を繰り返している。しかも、「尖閣諸島は明の時代から中国領であった」として、尖閣諸島上空を勝手に中国の防空識別圏として設定している。

世界はまるで「一種の野性的な‘生き物’であるような国家」の集まりである。野生動物同士はそれぞれ種を残すため多様な進化を遂げてきている。野性的な‘生き物’同士は生存のため互いに争う。その中で強い‘生き物’が上位に立っている。日本が現在アメリカと同盟関係を結んでいるのは、その方がお互い「より強い‘生き物’になれる」からである。つまり「軍事」をもって「外交の手段」の一つにしているのである。孫崎氏は「軍事は外交の手段である」という原則を知らないか、知ろうともしないお方のようである。または、彼は、日本はアメリカに対抗して中国と同盟関係を組んだ方が良い、と考えているようである。

安全保障関連法は、自国の防衛をより強固にするための法律であって、アメリカの要求に応えて海外に出かけて行き、アメリカを防衛するためのものではない。しかし、日本共産党はこれを「戦争法」だと言って、一般大衆に不安感を抱かせようと躍起である。一方、民進党は漠然とした一般大衆の不安感を積極的に払しょくしようとはせず、むしろその不安感を利用して、「安全保障関連法」の廃止を訴えて安倍政権打倒の手段としているようである。日本国民は、この日本の平和と安全と繁栄を彼らに委ねることを、決してしてはならないのである。