2016年7月8日金曜日

20160708東京都知事選挙に思う


 選挙は、国家又は自治体の経営に関わる人たちを選ぶことである。それぞれ志ある人たちが議員になりたいと立候補し、人々はその中から自分の期待に応えてくれそうな人を議員として選び、議会に送り込む。

 国家又は地方自治体の経営に関して、
    政府又は地方自治体の行政機関(以下、ここでは政府・地方自治体両者をまとめて「行政機関」と仮称する)の責任遂行の努力は十分であるか。
    行政機関は余計なことに過度な投資をしていないか。
    行政機関は自己保身をしていないか。
    行政機関は自己の利益になるような取引を行っていないか。

の四点について、有権者のみならず、選挙権がない人でもその行政機関による行政の恩恵を受ける人々(以下、ここでは「一般市民」という)よる点検が必要である。

 行政機関が行っていることについて、一般市民に対して十分な情報が提供されているかどうか、ということが最も重要である。有権者に選ばれて議員となった人たちが、そういう視点で行政機関を監視し、その状況を一般市民に良く知らせてくれて、行政が正しく行われるようにしてくれなければ一般市民は不安である。情報量の点で考えれば、一般市民は行政機関よりも不利な立場にある。舛添前知事の問題で、行政機関である都の職員と都議会議員が、ある意味で結託して、多額の費用を使ってリオ・オリンピックの視察旅行をする計画が明るみに出た。もし舛添前知事の問題がなかったら、都民はその計画を知らずにいたことになる。

 選ばれて議員になった人たちは一匹狼のようになることは出来ず、所属する政党の空気や慣例とされていることに従わざるを得ない。当選回数が多い議員は政党のそういう空気や慣例を守る重石となる。そうなると、一般市民には行政機関が過去に行ったことや、現在行っていることや、未来に行おうとすることに関する情報がよく伝わらなくなる。伝わったとしても有力な議員や行政機関の重職にある職員と何らかの縁故がある、限られた一部の一般市民にしか伝わらない。

 東京都知事選挙では各政党は推薦する候補者を選ぼうとしている。小池百合子氏は自由民主党の推薦を受けなくても構わないとして立候補した。増田寛也氏は東京都の各区長や各市町から出馬を要請されている。

 誰が東京都知事になっても、上述の四点に着目し、行政機関と一般市民との間の情報の差に着目し、東京都の行政が正しく行われるようにすることが望まれる。同じようなことが国政についても言える。

 上述の四点に関する一般市民による点検のためには情報が必要である。行政機関に関する正しい情報が一般市民に十分に伝えられるようにするためには、議員やジャーナリストたちの活動が必要である。さらに、議員やジャーナリストたちによる一般市民に対する情報提供が適切かつ正しいものであるかどうかということについて、一般市民が自ら積極的に点検する文化が盛んであることも必要である。

そのような文化の醸成のため行政機関自身が一般市民に対して啓発活動を行うことは、行政機関自身のためにも善いことである。新しい東京都知事がそのような文化を生み出すきっかけを作ってくれたら、それは日本という国家をさらに進化させることになるだろう。