2016年7月6日水曜日

20160706老夫婦のある日


 老夫婦の会話。妻は「三ッ池公園に行かない?このところずっと家にいて歩いていないし」と言う。夫は歩いていないことは無いと思いながら、「そうだね。行こうか」とすぐ準備にかかる。気温は30℃、うす曇りの天気でウオーキングには最適な日和である。

普段から手元に置いてあってすぐ装着できるようにしている安物の布製のウエストバッグは財布・鍵・携帯電話・敬老パスをそれぞれ鎖とフックを用いてバッグに固定してある。そのウエストバッグは両脇に280mlのペットボトルを収められるようになっている。普段から空いたペットボトルを洗浄し、乾燥させてあるものを幾つも保管している。そのペットボトルに水を詰めた。飲料水は水道水をトレビーノ家庭用浄水器で浄水し、2リットル容器に入れて冷蔵庫に常備している。

 勿論、水道水は100%安全な飲料水であるとされているが、湖沼などの富栄養化現象に伴い発生する藍藻類によって産生される物質や、塩素と水道原水中に含まれる有機物が反応して生成されるクロロホルム・プロモジクロロメタンなどの物質や、除草剤に広く使われている物質を除去して、より安全にし、カルキ臭を無くすため浄水器を使用するのである。

老夫婦は久しぶりに三ッ池公園を訪れた。三ツ池公園は神奈川県の県立公園である。池が三つあるから三ッ池公園という。それらの池は昔灌漑用の池であった。この公園は日本の「さくら名所100選」に選ばれている公園である。園内のウオーキング道路は山あり谷ありで歩行運動には最適である。園内には野球場やテニスコートやプールなども併設されている。其処は木々が生い茂っておりウグイスなど鳥たちの楽園である。

ウグイスは色々な鳴き声を発する。夫が木の高いところの茂みに向かって「ホーホケキョ」と言ったら、それまで別のけたたましい鳴き声を出していたウグイスがとても美しい声で「ホーホケキョ」と応じてくれた。そこで夫は嬉しくなって負けじと甲高い声で「ホーホケキョ」と言った。勿論、本物のウグイスのようには行かない。ウグイスは「おかしな声だな」と思ったのだろう。少し間を置いてまたさらに美しい声で「ホーホケキョ」と鳴いた。そのうち「これは偽物だ」と思ったのか、男の声に反応してくれなくなった。

ウオーキング道路沿いの山手にヤマユリが咲いていた。以前それを見たとき「取って行かないでください」という立札がたっていた。ボランティアたちが折角植えたヤマユリを取って持ち去る不逞な輩がいたようである。老夫婦は幾つも咲いているヤマユリを夢中になって写真に収めた。まだつぼみが残っているものもあるが少し時季外れである、しかしつぼみがあるものが咲いている辺りはとてもよい香りが漂っていた。

撮った写真は後でパソコンに取り込み、良い物だけをフォルダーに名前と日付をつけて保存する。その中に「其処に行った」という記念の意味で夫と妻のスナップ写真を2、3枚必ず含めている。そのような写真のフォルダーが30年分ぐらいある。昔の写真はアナログ写真で人物が主であるが、それをスキャナーでデジタルに変換して保存してある。同じものを外付けハードディスクなどにも保存してある。

何年か前にA4サイズの「花暦」を作り、町の印刷屋で印刷して貰って遠地に住む家族や友人に配ったことがあった。今年は久しぶりにまた「花暦」を作ろうと思う。妻は「こうして夫婦で歩くことができるのが幸せなことですよ」と言う。全くそのとおりである。老夫婦そろって健康であるからこそ、そのようなことが出来るのである。健康な状態はいずれ終わりが来る。何時かどちらかが欠けたり寝込んだりするだろう。せめて知恵・知識を総動員し、無理をせず、健康長寿に努めつつ、今のこの時を生きなければならないと思う。