2016年7月26日火曜日

20160726アメリカ次期大統領と日本アメリカ同盟関係


 都知事選挙では立候補者鳥越氏が民進党・共産党などの支援を受け、反安倍政権の演説を行っている。その安倍晋三首相はアメリカ議会で演説し、先の大戦で敵味方としてお互いに血みどろな戦いをした日本とアメリカの完全な和解を印象付けた。左翼の人たちは日本が再び戦火に巻き込まれるのではないかと不安に思い、また日本共産党のように科学的社会主義思想のもと反アメリカ・反天皇・反自衛隊という目的を達成するため、先ずは安倍政権を打倒しようと闘争している。

 そのアメリカの次期大統領にクリントン氏がなってもトランプ氏がなっても、TPPに関し両者の考え方は同じである。TPPを主導したアメリカはTPPの輪から抜け出そうとしている。両者は共に日本とアメリカの間の軍事同盟の強化が必要であると考えているが、その費用に関しトランプ氏は明確に日本の負担増を求めている。

 先の大戦では日本はアメリカに比べ何倍も何十倍も人々が死んだ。原子爆弾2個と都市への無差別絨毯爆撃で無辜の民が何十万人も死んだ。アメリカはかつて領土拡大の過程でスローガンにしてきた“Remember the Alamo”、“Remember the Main”と同様な手法で“Remember the Pearl Harbor”と言い、アメリカ国民が祖国愛を失うことがないようにしている。

 一方、日本では祖国愛について教えるような目的を持つ記念的な施設はない。靖国神社は戦死した兵士たちの魂を祀るところであり、広島の平和記念資料館は核兵器を廃絶させるためのシンボルとなる施設である。日本にはアメリカのように祖国愛を植え付けるための施設は何処にもない。仮にそういう施設があったとして、其処で内閣総理大臣が国家的行事を行うならば、左翼の人たちは「軍国主義の復活だ」と騒ぐことだろう。

 国家は極めて利己的な、まるで生き物・野獣のような存在である。日本もかつては同様な存在であった。豊臣秀吉は明(当時の中国)を支配下に入れるため朝鮮半島を侵略し、当時の日本軍は非常に多くの無辜の民を殺し、傷つけた。先の大戦でも日本軍は中国大陸で爆撃機による無差別爆撃を行った。南京事件は大いに誇張されているが、日本軍は民間人か民間人を装った軍人かの見分けがつかずに人々を殺した。左翼の人たちは自虐的に日本の過去のみを取り上げるが、アメリカもヨーロッパ諸国も国家として、まるで生き物・獰猛な野獣のように虐殺行為を行った。それが国家の本質である。

 国家は利己的な生き物であり、生存の欲望・利己的な欲望を完全に抑えることが出来ない「人間」と呼ばれる動物の集合的組織体である。ちなみにISも同様であり、特定の思想を持つ人々の集合的組織体も同様である。自由と民主主義を理念とする人々の集合的組織体は平素温和であり寛容であり友愛的である。そうでない人々の集合的組織体は、その思想を固めている理論に縛られるから、場合によってはその思想のため社会を強制的に改造する行動(社会改革)に出るだろう。その根底には人々の集合的組織体の指導者たちの自己保存の欲求がある。その根底にはそういう人たちの自己実現の欲求もある。

 人も組織も国家もそれぞれ自己保存の欲求のため行動している。この地球上のすべての生物も皆自己保存をしようとしてそれぞれ進化している。人も組織も国家も同様に進化の過程にある。日本には民族統合の象徴である天皇がいるから、日本人は日本列島にしか存在していなかった縄文人を基層とする多人種の混血種でありながら単一民族国家を形成し、縄文人を基層とする多人種の混血種であるがゆえに創造性と進取の気性に富んでいるから、日本は非常に良い状態で進化している。

 しかし、日本人が先の大戦の悲惨な経験から、高徳な人間同様に国家も道徳性の高い存在であると思いこみ、日本という国家が軍備を怠るならば、日本の領土・領空・領海は日本に非友好的な国家の軍によって侵犯され、排他的水域も荒らされることだろう。現にその兆候は度々起きている。国家というものは利己的であり、時に猛獣のように振る舞うものであることを、我々はよく認識すべきである。

 日本はアメリカの緊密な同盟国である。しかしアメリカは自分の利益にならないことに対して、血を流してまでして日本を守ろうとはしないであろう。日本人が自らの国は自らの力で守る気概を持たないと、日本はアメリカの言いなりにならざるを得ないことが起きるだろう。日本とアメリカの間で“Give and Take”の関係が重要である。

日本とアメリカの間でお互い利益に満足するような、非常に高度な、かつ密接な意思疎通が必要である。それが日本とアメリカの間の真の共生関係を築き上げ、維持することになるのである。先日アメリカ大統領が広島平和記念資料館を訪問されたように、日本の総理大臣もパールハーバーのアリゾナ記念館を訪問すると良い。一方で政府は、日本とアメリカの間の強固な同盟関係が如何に重要であるか、日本国民に対して積極的に啓発活動を行うべきである。左翼の人たちが何と言おうと、安倍首相が日本国家のためしなければならないことはまだ沢山残っている。