2016年6月21日火曜日

20160620参議院選挙とポピュリズム


 私は自分のデスクトップ一体型パソコンのOSwindows8からwindows10upgradeしている。Upgradeした初めの頃は、windows10は使い難かったが、最近は十分満足できるほど使いやすくなった。ブラウザもEdgeを使うようにしている。
 
 そのEdgemsnニュースの「ダイヤモンド・オンライン」で“中国が西側の制度や価値観に寄り添うと考えるのは「幻想」”というタイトルの記事が目にとまった。これは、中国の王毅外交部長(外相)とカナダ人女性記者との間の質疑応答である。

 この記事の終わりに括弧(【】)で囲う次の一文がある。私はここに日本が今後中国と向き合う上で考慮すべきポイントがあると思った。

 【そんな中国と向き合い、つき合っていく上で、私たち外国人、特に西側の価値観の下で生きる人間に求められるのは、前述のカナダ人記者のように「中国の人権状況は……」という、頭ごなしで結論ありきの問題提起をするのではなく、「まずは中国共産党や中国人民が考える“人権”(human rights)の定義を教えてください。我が国を含めた多くの国家において、人権とはXXXであり、YYYのように解釈・実践されていますが、中国の人権はそれらとどう異なるのか、異なるとすればなぜなのか、どのような背景があり、これからどのように変遷していく見込みなのかをお聞かせください」という具合に、丁寧かつ段階的に問題を提起し、相手の認識や見解を引き出していく気配りと粘り強さであろう。】

 国家は一つの「生き物」である。「生き物」は自己保存のため必死で行動する存在である。かつて日本も自己保存をかけてアメリカと死に物狂いで戦い、お互いに深く傷ついたが、日本は立ち上がれないほどダメージを受けた。しかし、アメリカという「生き物」は、自己保存のため日本という「生き物」に手を差し延べ、遂にはお互いに生き残るため「生き物」としての国家同士の「共生関係」を構築した。

それは安倍総理のアメリカ議会における演説とオバマ大統領の広島原爆記念館訪問と演説により強固なものなり、アメリカ軍と自衛隊の共同訓練の積み重ねによりますます強固なものに進化しつつある。このことは日本の左翼の勢力にとって最も嫌なことであろう。

 中国という「生き物」も自己保存の為、中国独自の道を歩んでいるのである。漢族が大多数を占めている中国は、異民族の王朝も含む多数の王朝を繋いできた。今の中国の統治機構は中国共産党が支配している、ある意味で‘王朝’である。中国の今の‘王朝’は、広大な国土・他民族国家・世界最大の人口を抱える国を統治する上で最良である、と習近平主席は確信しているようである。今のところ、多分そうであるように見える。

 今、日本では参議院議員の半数を改選する選挙に入っている。11団体もある各政党はそれぞれスローガンを掲げて選挙戦を戦っている。政党が多いということは、日本人の多様性を示している。日本人は元々多人種の混血種であるから、各界・各層にわたり多数の願望を吸い上げるため、政党の数が多いということは決して悪い事ではない。

 ただ、「日本が日本である、日本人が日本人である」というアイデンティティをしっかり見据えた上で、各政党がそれぞれのアッピールをするのであれば全く問題はないが、一部の政党は一般大衆に迎合するようなスローガンを掲げている。共産党は科学的社会主義思想に基づく社会を実現させるため、先ずは自分たちの陣営の周囲に、自分たちに好意的な大衆を増やそうと意図しているように見える。自分たちに好意的な大衆が非常に大きな塊になれば、次は自衛隊改造・天皇廃止のため行動するだろう。その時血も流れるだろう。

 民進党は「安倍内閣打倒」を最大の目標にして、「自衛隊は違憲である」と明言している共産党と組んでいる。民進党は自分たちの主張の根拠となる具体的な数字を示さずに、ただ「アベノミクスは失敗した」と宣伝している。「安倍内閣の暴走を止めさせる」と声高に言うが、何をもって「暴走」というのか! 「具体的な数字・根拠を示せ」、と言いたい。

 今日の讀賣新聞朝刊に「想う2016 英の自殺行為 国際連盟解体時に似る」と題する仏経済学者ジャック・アタリの言葉が出ていた。“英国で賢明な人々は離脱を望んでいない。離脱の場合は、大衆を駆り立てるポピュリズム(扇動政治)の勝利と言える。賢明な人々がこうして大衆に敗れ、破局が来ることを歴史は示している”と彼は言っている。

 民進党も共産党も社会民主党も生活の党と山本太郎となかまたちも、皆ポピュリズムに走っている。ポピュリズムはマスメディアが公正・中立な姿勢で報道しない限り拡大して行くことだろう。

「護憲」「戦争法案反対」「アベノミクスは失敗した」「安倍内閣の暴走を止める」「安保法案廃止」「沖縄の米軍基地撤廃」などなど、大衆に迎合する情緒的なスローガンを掲げている政党に対して、SNSを通じて国民大多数が批判するようになって欲しいと思う。

小沢一郎党首は彼の持論である「国連中心主義」を掲げ、安保法制に反対しているが、これは国民に「正論だ」と思わせる。しかし現実の世界はそれぞれ自己保存を目指している「生き物」としての国家同士の、富の奪い合いである。「生き物」としての国家は、それぞれ強い「生き物」国家のところに身を寄せ、安泰と繁栄を目指そうとしている。そういう状況の中で、紛争解決にため国連軍を立ち上げようとしても、利害が対立すればその実現は困難である。国民に「正論だ」と思わせるのは、巧妙なポピュリズムである。

大多数の日本国民は、ピースボートは、“海賊対策での「ソマリア沖の海賊の海上自衛隊派遣反対」を掲げていたにも関わらず、2009年の第66回目の地球一周航海の際、ソマリア沖・アデン湾を航行中に、海上自衛隊の護衛艦による護衛を受けていた”(wikipediaから引用)事実を知らないだろう。同じことが、今年の53日と4日起きていた。海賊対処のためソマリア沖に展開中の上自衛隊の護衛艦「ゆうぎり」は、ピースボートの旅客船を護衛していた。自衛隊が二度も反自衛隊的なピースボートを助けていたのである。

大多数の国民が事実を知らないと、ポピュリズムにより国民が予期せぬ不幸に見舞われる恐れがある。そうなってからでは遅い。国家観の欠如した政党の幹部の発言に、大多数の国民が騙されないようにしなければならない。

関連:「生物種としての国家」
http://hibikorejitaku.blogspot.jp/search/label/%E7%94%9F%E7%89%A9%E7%A8%AE%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E5%9B%BD%E5%AE%B6

「古代記録に残っている渡来人の数」
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