2016年6月25日土曜日

20160625イギリスのEU離脱


 イギリスのEU離脱を問う国民投票の結果、僅差で離脱が決まった。イギリスは今後2年以内にEUから離脱する。離脱に当りEUや他の国々との間で取り交わされていた千件余りの条約等諸手続きの変更が必要であるとのことである。EU離脱が良かったのか、悪かったのか、今後2〜3年のうちに明らかになるであろう。

 私はイギリス国民の選択は、「‘生き物’としての国家」のアレルギー症状が現れたものであると考える。イギリス国民は、自国に流入する外国人のため職場が奪われ、社会保障費の負担が大きくなったと感じている、と報道されている。人体は外部からの侵入物に過敏に反応する場合もあり、反応しない場合もある。それと似た現象が国家レベルで起きたのである。

 我が国では古代、縄文人たちの世界に、長江中流域を源とする稲作・漁労の民が渡来系弥生人として入ってきた。縄文人と渡来系弥生人との間で殺し合いは起きず、両者は混血して日本人の原型である古墳時代人になった。その後、主に朝鮮半島から技能・職能を持っている集団が渡来してきて、天皇のもとで日本の国づくりに貢献した。

日本列島という狭い国土の中で、平安時代までは朝廷による政治、それ以降は武家による政治が行われ、中央から地方へ、地方から地方へと人々が移動し、子孫を残し、血は拡散した。姓制度は廃れ、非常に沢山の名字(家名)が生まれた。その結果、非常に多くの日本人は自分の遠い先祖が何処に住んでいたか知らない。しかし、天皇家は日本人の各家々の宗家のようなものである。

終戦直後、210万人ほど日本にいた韓国・朝鮮人は、現在では日本人との結婚などで減少し50万人ほどになっている。逆に現在日本に住んでいる中国人は急増し、70万人を超えている。日本人と結婚している中国人は少なくない。そのほか東南アジア人が増え日本人と結婚している人も増えた。また欧米系の白人や、数は少ないがアフリカ系の黒人との混血も増えつつある。その中から優れたアスリートたちが頭角を現してきた。

もともと雑種であった日本人は、今後ますます雑種化が進み、「‘生き物’国家」としての日本は、ますますアレルギーに強い‘体質’になることだろう。海に囲まれた日本は、従来、資源が乏しい国とされてきた。しかし今やその海が資源の宝庫になりつつある。雑種である日本人はこの日本列島で生き残るため創意と工夫を凝らし、互いに切磋琢磨している。日本は、外から見ると時に秩序性に欠けるところがあっても、何か刺激があれば一挙に団結する。

その団結力は何処から来るのか? 絶対忘れてはならないことは、古来、日本人は天皇を戴き、伝統や文化を非常に大切にしてきたということである。‘振子’をイメージするならば、このことが日本という国家の中心である。時の情勢によって‘振子’は左右に触れるが、中心は変わらない。その中心こそ団結力の源である。其処が変わると日本は日本で無くなる。

科学的社会主義を信奉している政治家たちは天皇を否定している。彼らはポピュリズムを煽り、社会を混乱させ、その隙に‘暴力装置’を起動させて彼らが理想とする社会を創り上げようとしている。国家を「一つの‘生き物’」として捉えない政治家は、真の国家観を持っていない政治家である。彼らは理想を唱え、現実に目を向けているように見せかけて人々を惹き付けているが、実は現実に目を背けている。

 民進党の政治家たちは理想ばかりを唱え、参議院選挙で共産党と共闘している。彼らは結果的にはポピュリズムを煽っている。彼らにこの日本国を任せてはならない。ナチスもレーニンもポピュリズムを煽り、政権を獲得した。それに似たようなことが、この日本で起きないとは限らない。マスメディアがポピュリズムを煽る手助けをすれば、人々は正しい判断力を失い、国家間の乏しい政治家たちにこの日本を委ねてしまうことになるだろう。