2009年6月26日金曜日


観光立国(20090626

最近景気が少し上向いてきたとの観測である。アメリカがくしゃみすれば日本もくしゃみするような弱さから、わが国は脱却することができる国策を講じるべきであると男は思う。観光庁ができ、消費者庁ができれば、わが国は外国からの影響をあまり受けなくなるように出来るだろうか?
大井川SL鉄道列車に乗ってみた。C11型という古い機関車がエアコンのない古い客車を牽引している。車内で車掌がハーモニカを吹き童謡を演奏している。乗客はみな手拍子で唱和しながら、トンネルに入るたびに急いで窓を開け閉めしている。沿線の風景は大正・昭和の時代にほど遠く、この鉄道は電化されているので架線が見える。客車の外壁の鉄板はあちこち発錆の後をペンキで厚塗りして隠している。ただ古いだけであり、乗客はその古いものに感傷的になっているだけである。と、言ってしまえば、「人はそれぞれ考え方や感じ方が違うのだから、批判すべきではない」と非難されそうである。
しかし男は「いつまでも古い遺産に頼ってばかりいては、観光事業は発展しないだろう」と思う。外見は古くレトロ調で中身はモダンで、乗務員や売り子は明治・大正時代風なSL風の観光列車を開発して観光客を呼び込んだらどうだろうか。九州の博多~湯布院間で「湯布院の森」号という観光列車が走っていて大変人気を博している。博多や湯布院の駅のホームで「湯布院の森」号と一緒に写真に写る人たちが多い。格好がよい制服の女性の車掌さんが客の求めに応じてカメラのシャッターを押してやるなどサービスに努めている。この線路は電化されておらずジーゼル駆動の列車が走っている。沿線の景色も大変美しい。この列車のユニークなデザインが沿線の風景によく合っている。特に筑後平野、日田盆地、玖珠盆地から由布岳に至る風景が美しい。
もしこの線に「湯布院の森」号だけではなく、煙は吐くが水蒸気だけであり、汽笛や発生する音は全く蒸気機関車のそれであるが、駆動は大部分を自然エネルギー利用の電気モーターであり、石炭投入口の中は石炭が実際に燃えているように見えるが、実は家庭用電気暖炉のような仕掛けのものである機関車が、外見は古く見せかけているが車内はモダンで清潔な4、5両の客車を引っ張る観光列車が走るようになれば、大変な人気になるのではないかと男は空想している。大井川鉄道のようにただ古いだけでは遺産を食いつぶすだけである。これはいずれ姿を消すものだ。未来に向けた発展の希望がない。夢がない。
男は観光庁のホームページを見て、そのホームページは新鮮味が全くないと思った。この役所の理念は①わが国経済社会の活性化、②活力に満ちた地域社会の実現の促進、③国際相互理解の増進、などなど。これらに貢献すると書かれている。「貢献する」のであって、国としてなぜ「貢献しなければならないのか」ということが分からない。わが国はなぜ「観光立国」を実現しなければならないのかということが分からない。
わが国の観光資源の開発・利用は、わが国をたとえアメリカがくしゃみしても影響されない強い国にするためではないのか。わが国はあらゆる分野で強い国であるべきではないのか。かつて明治時代に「富国強兵」の理念があったが、今の日本にはそのような男らしい理念がない。平和ボケした国民の目を覚ますリーダーシップがないのだ。

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