2009年6月30日火曜日

男の左脳、女の右脳(20090630

 男脳と女脳とは基本的に違うらしい。男性は一般的に左脳の働き、物事を論理的に処理しようとするが、女性は右脳がよく働くらしい。しかも右脳と左脳との間で情報が行き来しながら物事を処理するらしい。男性の関心事と女性の関心事は違う部分が多い。だから男と女の間ではしばしば衝突が起きるという。戦国大名伊達政宗は、本当にそう言ったかどうか知らないが、「家の中では客人のように振る舞えばうまく行く。」と言ったそうである。

 良く聞く話に、亭主はかみさんから「うちの人はうるさい」と思われているようである。亭主は瞬時に先々のことまで思考が及ぶので、かみさんがまだ理解できていないことを低い声でぼそぼそと言う。かみさんは亭主が言っていることをまだ理解できずにいると亭主は苛立つ。物事に対する男性の理解の仕方と女性の理解の仕方が違うので、女性は男性より劣っていると思われがちである。ところが物事について女性が理解しやすいように言ってやると、女性は男性よりも早く理解できるそうである。しかも物事を正しく理解できるそうである。そういう意味では女性は男性よりも頭が良いと思われる。

 男は10年前お年寄りの家事援助を行う女性だけの団体にかかわったことがある。頭の良い女性たちが男をその団体の代表にし、その団体を特定非営利活動法人(NPO法人)という長ったらしい名前の法人にするための作業を手伝わせた。その団体は看護師である女性がヘルパーの講習会を開いて人を集め設立した団体である。その女性、仮にAさんと言っておこう、彼女が子供時代から友達であったBさんにこう言った。「だって、Mさんを長にしないと彼は動いてくれないから・・・」。Bさんが「なぜMさんを長にするの?」と言ったことに対しての応答である。Mさんとは男のことである。

 男は人生の大半を大きな組織で働いてきて若い時から管理職をしていたので、組織を立ち上げること、人を動かすことについて自分の右に出る者はいないという自負があった。Aさんは男がこの団体に来る前から特定非営利活動法という法律ができることを知っていて、この団体を法人化するための知識や方法を十分熟知していた。Aさんは男を連れて法人化手続きのため役所周りをし、男を教育した。Aさんは理念を最も大切に考えるが男は理念よりも経営を重視する。Aさんは初めの段階で男の言動に眉をひそめた。

 男はともかく経験を生かしてその団体を法人化させ、理事長に座り、仕様書を作ってその使用に合うスタッフを採用し、企業的経営に執心した。NPO法人といえども公益法人として利益が出れば法人税を払わなければならない。利益はその法人で活動する人たち、自分も含め安い報酬で働いて経費を切り詰めた結果生ずるものであってはならず、適正な費用を計上したうえで生じるものでなければならない。NPO法人といっても営利を目的とせず、納税後残った資金は分配しないということだけであって、経営形態は営利企業のそれと大差ない。男は営利企業並みに人事・給与・福利厚生に至る10余りの規程を作った。「規定」と「規程」の違いも女性たちに口酸っぱく説明した。最初の段階から各種社会保険、労働保険、民間の保険に加入し、社会保険事務所でも驚かれたが企業年金や中小企業退職金積立機構にも加入した。

 その団体は確かに女の細腕で稼ぐ団体ではあるが、男は主婦感覚の甘えた考えを嫌った。女ばかりの団体の中でただ一人の男は時々苛立ち声を荒げてスタッフの女性を叱り飛ばすこともあった。男は7年後定時総会で理事長の座をBさんに渡し、そこを去った。