2009年6月17日水曜日


日めくり万葉集(20090617

男は今年初めから女房と一緒にNHKの『日めくり万葉集』を観ている。「日めくり」なので月曜日から金曜日まで毎日5分間だけの番組である。日立の液晶テレビは内蔵のハードディスクのほか、外付けのハードディスクも利用でき、録画は簡単であるので、この『日めくり万葉集』は一度に数日分をまとめて観ている。テキストも毎月購読している。

選者が違うと有名な歌は二度同じものが紹介されている。詩吟でもよく詠われる持統天皇の「春過ぎて 夏来るらし 白たへの 衣干したり 天の香具山」とか、小野老の「あをによし 奈良の都は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり」とか、山辺赤人の「田子の浦ゆ うち出でてみれば ま白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける」などは、それぞれ別の選者が取り上げている。

男は昔、『もう一つの万葉集』に興味を持ってその本を購入して持っている。その本の著者は万葉集に収められている最初の歌、雄略天皇の「籠もよ み籠持ち ふくしもよ みぶくし持ち この岡に 菜摘ます児 家告らせ 名告らさね そらみつ大和の国は 押しなべて我こそ居れ しきなべて我こそ居れ 我こそば告らめ 家をも名をも」などは古代朝鮮語で書かれていると主張している。万葉集に収められている歌の作者は当時の日本語の音の一音一音をその音や言葉の意味に最も近い漢字を振り当てて書いている。雄略天皇の歌の「籠もよ み籠持ち・・・」は「籠毛与 美籠母乳 ・・・」である。この著者は、その部分の音を朝鮮語の音に当てはめて、雄略天皇は当時の日本に渡ってきていた朝鮮系の人たちに「コマよ」と呼びかけているのだという。しかも雄略天皇は朝鮮系であると主張している。男はこの主張に不快感を覚える。

ちなみに『日めくり万葉集』では、別の選者によりそれぞれ一回づつ二度、この雄略天皇の歌が取り上げられている。解説は解りやすい。

男は山上憶良など朝鮮半島から渡来してきた人々やその子孫が当時の日本の朝廷で果たした役割を否定しない。著者も万葉集の全部が韓国語でないと理解できないとは言っていないし、巻一の九にある額田王の歌の注には「定訓を得ず」と確かに書かれているので、男は著者の主張の一部に対してはよく研究してみたいと思っている。

仏教や漢字は朝鮮半島を通じて伝えられていることは誰でも知っている。男は古代日本の形成において朝鮮半島から多くの影響があったことも、また古代の大陸の諸情勢の中、朝鮮半島の本来の住人である韓人や朝鮮半島にいた漢人(中国人)らが、後漢滅亡時などの政変時などとき多数日本に渡ってきて、日本の社会に溶け込み日本人として同化してゆく過程の中で日本の文化形成にいろいろ大きな貢献があったことも、そのとおりだと思っている。

しかし男は古代の日本が朝鮮半島から渡来してきた人たちによって形成されたとし、万世一系の系譜も否定する主張に対しては反発する。また自分の母国日本の古代史を塗り替えようとし、日本の近代史を自虐的に観、天皇は女系になってもよいなどと主張する一部の政治家や学者たちにも怒りを覚える。日本は中心に天皇がいる大家族の国のようなものである。その天皇は英語でエンペラー(皇帝)と訳されているが民を支配する皇帝ではない。天皇は古代から民の中心として国の祖神を祀ってこられたのだ。