2010年2月27日土曜日

ブッダ「真理のことば」を学ぶ(36(20100227)

 今日(25日)のNHKテレビの福祉ネットで「沖縄戦遺骨収集で再起をめざす路上生活者」という番組を観た。あるNPOが昨年沖縄県に働き掛けて50人ほどの路上生活者を集めて65年前の沖縄戦で戦って死亡した兵士たちの遺骨を収集する事業を行い、路上生活者たちが生きる希望と勇気を得た話題を、鈴木さんと照屋さんの二人の路上生活者にスポットを当てて取材された番組である。観ていて大変感動した。

 現場はなにか建設工事が行われる場所らしいが、沖縄戦で日本軍の司令部があった場所の近くだという。路上生活者たちは2ヶ月間の遺骨収集作業で20万円の報酬を得、戦いで死んだ兵士たちの遺骨に向き合って前向きに生きて行く元気を取り戻していった。

 鈴木さんは作業現場での人間関係がうまく行かなかったため途中で辞めたが、170体あまり集まった遺骨の慰霊行事には参加した。人間関係がうまく行かなかった原因は過去のトラウマにより人間不信に陥ってしまって元に戻れなかったためである。照屋さんの方は長男をフォークリフトによる事故で失い、それがもとで二男と生れたばかりの三男がいたのに勤めていた運送会社を退職し、家族と別れ、路上生活に陥ってしまった。照屋さんは遺骨収集で得たお金で4年前別れた息子たちにクリスマスプレゼントを買い、2万円の現金を添えて知人に託し、別れた妻子のもとに届けた。愛知県の自動車部品関係の工場に就職も決まり、人生の再出発を果たした。照屋さんは頭蓋骨に銃創の跡が残る遺骨に対面して、この兵士は生きて帰り会いたい家族がいたのに会えなくなったことをわが身に照らして考え、生き方を変えたのである。このNPOはとても素晴らしい活動をしていると感じた。

第十九章「道を実践する人」つづき。

261 誠あり、徳あり、慈しみがあって、傷(そこな)わず、つつしみがあり、みずからととのえ、汚れを除き、気をつけている人こそ「長老」と呼ばれる。

 件のNPOの代表たちは正しく「長老」のようであった。遺骨収集作業に従事した50人ほどの路上生活者の中には70代の人もいる。代表たちは彼らに誠実に向き合い、生きる希望を与え、宿泊場所を与え、励まし、威張らず、皆が喜ぶこと様子をみて喜んでいる。本当に偉い人たちである。おそらく50代か60代前半の方であろう。彼らが自分にできないことを行っているので、本当に尊敬する。

 もうひとつ感じたことは、戦後65年も経つのに沖縄では未だに戦争の傷跡を引きずっているという現実である。このNHKのドキュメンタリーには作為はないであろう。このような現実をもっと多く日本人は知るべきである。若い人たちに教えるべきである。一票の格差がどうのこうのと話題になっているが、人口が集中している東京、横浜、名古屋、大阪など大都市に住む人々は、自分も含めてあまり地方のことは知らない。世論を左右する論客たちは皆都会人なのである。身をもって地方のことを知っているわけではないのだ。