2012年2月20日月曜日


国家の運営について考える(20120220)

 アメリカが中国に接近したことに関連して、沖縄駐留アメリカ軍による抑止力は極めて重要であるから、日本とアメリカの同盟関係を一層深化させなければならない、また沖縄にアメリカ軍の基地が集中しているので沖縄の負担の軽減に努めなければならないと発言する政治家が増えてきた。しかし、沖縄にアメリカ軍の基地があることの国家防衛上の意味を、特に沖縄県人以外の日本人はよく理解していないようである。

 日本国民の意識を形成している根本的なものを日本国民自身が自覚できないでいると、何時まで経っても日本の外交・防衛に関する世論が一つにまとまることは困難である。

 そこで、日本国民の意識を形成している根本的なものを考えるための道具を作ることを思いついた。当面は共通的認識の元になりそうな定義や公理や系を、倫理的な裏づけなしに列挙することから始める。
 
 この道具は、日本が中国や韓国・北朝鮮に対してどう向きあえばよいのか、以下の論理体系で見えてくるようにすることを意図して作成するものである。

 定義1 国家は、それ自体国民とは別の機能体である。
 定義2 国家の運営の手法は、一人または集団、或いは指導的組織の理念や指導力によって決定される。
 定義3 国家を指導する力は、指導者または指導集団、或いは指導的組織がもつ理念とこれらが宰領し利用する行政の制度によって制御される。

公理1 国家と国民個々とはそれぞれ別の機能体であるが、国家群の中には国家と国民個々の間で一体感がある国もあるが、一体感が希薄な国もある。
 公理2 国家と国民個々とを結びつける絆の強さは、国民個々の精神を共有する象徴的存在の有無により差異がる。
 公理3 国家と国民個々とを結びつける絆の強さは、国民個々の精神を共有する象徴的な存在に対する帰属意識を高める教育の有無及び教育の普及の程度により差異がある。
公理4 定義2における「集団的指導組織」は、その「集団的指導組織」を幾世紀にもわたり持続させるための方針や実施要領等を記述した綱領によって、国家戦略として継承される。

 系1 日本国は公理1における「国家と国民個々の間で一体感がある」国の一つである。
 系2 日本国には、国民個々の精神を共有する象徴的存在として、世界に類例を見ない天皇がいる。
 系3 日本国においては、公理2の「象徴」である天皇と国民個々を結びつける絆を強めるための教育は行われていないが、その結びつきは非常に強いものがある。

 TPPでも、国政でも、論理的にその是非を考えるべきである。人間の脳は「あれは悪い」と聞かされ続けると、本当に「あれは悪い」と思うようになるものである。其処に問題の本質を発見することができない「感情の関所」がある。

 「あれは悪い」とあれこれ資料を引用し、説得する側も、その資料だけに偏って、問題の本質を発見することができない「知識の関所」にとどめ置かれているかもしれない。

 問題を解くことよりも、問題を発見することが最も重要である。上記、定義・公理・系の別による思考法は、問題を発見するための手法として思索中のものである。  (続く)