2012年9月18日火曜日


日韓関係の改善のために(29)「尖閣・竹島・原発問題――易経に解あり(20120918)

 日韓修好条規の合意に至るまでに朝鮮政府内で過激な反対意見を出していた重臣たちがいて、後に朝鮮政府はその重臣たちを更迭してしまった。いかなる場合でも無知・無理解・無神経は対立を生む。人は物事を理解する上で三つの関所を通過しなければならない。一つは知識の関所である。二つは文化の関所である。三つは感情の関所である。これらの関所には壁があるので、人はなかなかその関所の向こうを見渡すことができない。関所の向こうを見渡すことができないから、無知になり、無理解になり、無神経な行為に出る。権力者が彼に仕える者たちの口を封じてしまえば、誰も物を言わなくなる。そうなると、物事を理解するため越えなければならない関所の壁がますます高くなってしまう。

 たとえ知識があっても、文化が違うとその知識を使うことができない。感情的になると知識の取得ができない。知識がなければ理解もできず、相手に対して無神経な行動に出る。尖閣や竹島の問題は正にこの三つの関所により起きている。ではどうすればよいのか? 結局は忍耐強く、辛抱強く、相手が恐れをなすようなこちらの力を見せつけながら交渉を重ねる以外に道はない。日朝修好条規の交渉は正にそのような方法で合意に至った。しかし朝鮮政府が政府内で強硬な反対意見を出していた重臣四人を更迭してしまったので、後に「不平等条約」と言われてしまった条規の改正を行う術を失ってしまった。易経でいう折中が出来ずじまいであった。安岡正篤『運命を開く知恵 易経講座』(致知出版社)に、「単に歩み寄りなんていうものは居中であった折中ではない。易は中庸である。中庸は複雑な現実に処して折中してゆくことである」と説かれている。

 ちなみに、民主党が打ち出した30年後原発ゼロの目標は正に党の浮上を狙った「居中」である。前掲書物には「安価な穏健中正等は一番くだらない誤魔化(ごまか)しである」と説かれている。尖閣や竹島問題に対する民主党の対処は正にこの「安価な穏健中正」である。古代に易経という学問を生んだ漢民族のシナ(中国)は日本のそのような対応を見て国連に尖閣諸島がシナ(中国)の領土であることを示す海図を提出し、韓国人の潘基文事務総長はそれを受理した。その理由は「中立」な対応だという。民主党政権の「安価な穏健中正」な外交姿勢がどれほど我が国の国益を損なってきたことだろうか? 日朝修好条規交渉の合意事項について 善花著『韓国併合への道 完全版』より括弧(“”)で引用する。

 “合意項目には、李朝政府の近代的な国際関係への無知、無理解によるものがいくつか含まれている。輸出入の無関税(一八八三年七月日朝貿易章程で改正)、貿易品目の規制、日本貨幣の使用、朝鮮銅貨の輸出入の自由、朝鮮沿海測量の自由、自治居留地(領事裁判権)の設置などである。
 朝鮮政府がこれらへのこだわりを全く見せなかったことからすれば、何のことかわからず、これが不平等条約だとすら認識していなかったのではないだろうか。(続く)