2013年2月2日土曜日


鎌倉に遊ぶ(20130202

 お天気が良い日に久しぶりに鎌倉に遊んだ。毎年この時期に鎌倉八幡宮の源氏池の辺で冬の牡丹を鑑賞することができる。冬の牡丹は地面からの冷気と上から降りる冷気を防ぎ牡丹を守るため牡丹の根本の地面の上に藁を敷きつめ、藁で作る菰を被せてある。菰の中に牡丹の花が3、4輪の身を寄せ合っているのが可愛い。冬牡丹の花にはがいろいろな色や形がある。持参したデジタルカメラで写真に収め、家に帰ってから先ずはそれをテレビに映し出して鑑賞し、コンピュータに保存するものを選んで他はゴミ箱に入れる。次に良い写真を2LサイズとA4サイズでそれぞれ何枚か印刷する。そして印刷したものの裏に撮影の場所と日付を書き入れる。その後それらを額に入れ家の中の各所に飾る。それまで額に入ってあったものは整理して保存しておく。家の中には高価な絵画は飾られていないが、居間や寝室や廊下などに自分で撮った四季折々の花や風景の写真が飾られている。

 今年はとても良い冬牡丹の写真が撮れた。壁に飾った冬牡丹の写真を見てその写真を撮ったときのことを思い出す。例えばこの度源氏池の中の島の水辺から少し離れたところに一羽のアオサギがじっと止まって水辺を見つめていたが、其処からちょっと離れた場所で一羽のコサギが舞っていた。するとそのアオサギはそのコサギを警戒したのか丘の茂みの方に移動して体を低くした。そのうちにコサギの数が増し、何羽かが松の木の上に止まった。アオサギはいつの間にか姿を消した。このことを来年思い出すことになる。

またその牡丹園の反対側の出口から出て八幡宮の前に出て若宮通りに向って歩いているとき中学生たちが騒いでいる。何かと思って近づいてみると中学生たちがリスに何か食べ物をやっている。リスは人見知りもせず近づいて来ている。良く見るとそれは台湾リスであった。鎌倉では台湾リスが増えて被害が出ているためネズミ取りで捕獲しているそうである。何処か他にリスが居ないかと木の茂みの上を見上げていると台湾リスの巣がある。台湾リスは木の枝の高い所に巣を作っている。こういったことも来年また鎌倉の冬牡丹の写真を撮ったとき「去年はリスが居たなァ」と思い出すことになる。

 小町通をぶらぶら歩いていると口ひげをはやし着物姿の旦那衆に出会った。牡丹園では和服姿の旦那と美しい着物を着ているヨーロッパ系の女性のカップルが牡丹の花を観ながら日本語で語り合っていた。大変良い風景であった。鎌倉には京都とは違う雰囲気がある。

 北条政子が源氏池と平家池を作り、頼朝が由比ヶ浜から天満宮に向かう両側に松の木を植えてあった、一直線の道幅が広い参道を作り鎌倉幕府の基礎を作って以来820年経った今、人々は往時の為政者たちと同じような立場になっている。当時身分の高い人たちだけしか入れなかったところに、今の人たちは所定の料金を払って入ることができる。経済的に多少豊かであり、日本固有の文化を大事に思いそれなりの教養を身につけている人たちは然るべき場所で茶の湯の席に招待されるなどして、かつて身分が高い人たちが共有していた精神文化の世界に自分を置くことができる。

外国の史跡の建物と言えば古くなって汚れているものがあるが、日本の史跡の建物は実に美しく優雅に保たれている。古い茶室では茶の湯の会が催されたりする。外国から見れば非常に等質な日本人は、誰でも誰から強制されることもなく、自然のうちに日本古来の文化や伝統を守る気持ちを抱いている。これは外国にはない非常にユニークなものである。アメリカの航空母艦の乗組員たちの一行ではないかと思われる一団が、引率者が掲げる旗のあとに付いて歩いていた。鎌倉は何度訪れても飽きることはない土地である。