2009年11月3日火曜日

国会討論を聞いて(20091103)

 30日午後、テレビのスイッチを入れたら参議院で自民党改革クラブの松下新平氏が質問に立っていた。彼は徳富蘇峰の国家観を示して国が興隆していないとき政治は民生に目を向ける、というような趣旨のことをいって対テロ対策、インド洋給油の問題について新政府を攻撃していた。


 彼も松下塾出身なのであろうか。男はよくは知らないが、松下政経塾の創始者松下幸之助は、戦後わが国には国家意識がない、国家意識がなければ国は発展しないと考えており、明治大正昭和初期の論客徳富蘇峰の国家観を塾生指導の参考にしていたと思う。

 その徳富蘇峰はもともと平民主義者であって、男は、民主党は徳富蘇峰の平民主義に近い考え方をしていると思う。徳富蘇峰は日清戦争後平民主義から強硬な国権論者・国家膨脹主義者に転じている。わが国が経験した悲惨な戦争を導いた指導者のものの考え方に徳富蘇峰の主義主張が影響を与えたのでないかと、徳富蘇峰を非難する人もいるようである。

 男はその辺の詳しいことは全く判らないし、またものごとを十分な知識・研究の裏付けのもとに考えて判断しているわけではないが、もし松下新平氏の今回の質問の思想的背景に徳富蘇峰の国家観が影響しているとするならば、徳富蘇峰について十分研究した上で質問う行うものでなければ危険であると直感した。何故なら「国家」というものを前面に出すために、わざわざ徳富蘇峰の国家観を引用する必要はないと男は考えるからである。

 松下議員はインド洋での給油活動をアフガニスタン政府からの要請がないとして中止するのは、誤った判断に国民を誘導するものであると声高らかに言った。岡田外相の答弁は、国連でアフガニスタン外相から給油活動の継続を要請されたが、アフガニスタンを訪問したときには一切そのような要請は無かったと答弁した。鳩山首相も給油活動についてその恩恵を受けている国々から感謝されているのは承知している。しかし、新政府は給油活動以外の方法でアフガニスタンを支援してゆくつもりであると言明した。

 松下議員はインド洋における給油活動は、わが国のプレゼンスを示す重要な活動であると主張した。男はそのことについて大いに賛成である。男は、インド洋における給油活動は、わが国が憲法上の制約を隠れ蓑に最も犠牲が少ないやり方で、最大の効果を上げ得る最も善い手段であると考えている。その手段とは、何度も口にするように、「軍事を外交の有力な手段の一つ」とする、正にその手段であると考えている。

 この地球上から暴力をもっても自分の目的を達成しようとする勢力が存在する限り、味方も軍を使ってこれを抑圧し続けなければならない。そのような冷静な見方のもと、徹底したシビリアンコントロールのもとに、わが‘国軍’(男はそう呼びたい)を要地に展開させることが、国際社会の名誉ある一員、各国から尊敬される一員として大変重要なのである。質問時間に制約があるせいもあり松下議員も十分意を尽くし得なかったと思うが、新政府側に男が主張しているようなものの考え方を幾分でも持っているかどうか、男は国の現状、行く末を心配しているのである。

 首相は、わが国は低酸素技術が世界のトップレベルにあるので、これを経済の発展を導く手段にすると言っている。それはわが国の技術水準が冷静な科学的、論理的分析のもとに世界のトップを行っていると判断して言っているのかどうか、またはただ単に感じと期待だけでそのように言っているのかどうか、男は批判的な目で見極めたいと思っている。