2009年11月28日土曜日

六義園と小石川植物園の散策(20091128)

 今朝女房は「今日は天気が良いので六義円と小石川植物園に行ってみたい」と言う。男は片付けておきたい仕事があったが別に急ぐこともないことなので急きょ外出の準備をし、女房と一緒にそこに行くことにした。そういうことが出来るのは有り難いことである。駅を10時過ぎに出発するその列車には仕事に出かけるらしい人たちもまだ多く乗っていた。

 六義園は第五代将軍徳川綱吉の信任厚かった川越藩主柳沢吉保が作ったもので明治維新後岩崎弥太郎が買い取り後に公園として整備されたものである。JR駒込駅を降りてすぐ近くのところにその公園はある。男と女房は、今年はいろいろな事情で京都の紅葉を観に行くことができなかったが六義園に来てみて京都に行かずともこの六義園で十二分紅葉と風景を堪能することができた。横浜の三渓園を遺した原三渓といい、六義園や清澄公園を遺した岩崎弥太郎といい、明治の大富豪たちは後世に本当に良いものを遺して下さったと思う。

 六義園は夜ライトアップするので小石川植物園を初めに観て、その後六義園に来た方が良かったかもしれないが、そうするとこの間清澄公園に行った時のように家に帰り着くのが遅くなってしまう。女房は男が深夜までパソコンに向かっていなければならなくなることを心配して順序を逆にし、六義園を先に観ることにしてくれたのである。

 男と女房は56年前だったと思うが休みの日に急に思い立って京都の紅葉を観るため新幹線で京都の日帰り旅行をしたことがあった。その時は大原まで足を伸ばした。京都の紅葉は主に寺院の庭の紅葉である。しかしこの六義園の紅葉は大きな庭園の中の紅葉である。池、岩、流れ、小みち、橋、東屋、灯篭、樹木、緑、紅葉などがある趣をもって配置されている風景はとても優雅で美しかった。その庭園を一歩外に出れば超近代の街であるが、庭園の中には美しい日本の姿があった。

 この庭園は徳川幕府の大老の庭園として造られているものなので、庭園の中は非常に心が癒される雰囲気がある。男と女房はこの庭園の中をゆっくり楽しみながら全て隈なく回った。平日のためその公園を訪れた人の数も多くなかった。しかし紅葉としては今日・明日がベストであると思う。紅葉にせよ桜にせよ最も良い時期は限られている。天気が良く、穏やかな日和で、庭園の中を歩く人の数も多くなく、風景が大変素晴らしいという時期に巡り合えるということは余りない幸運なことである。

 男と女房は六義園を堪能したあと小石川植物園まで歩いて行った。この植物園は東京大学の研究施設である。入場料は高齢者でも割引は無い。園内には芝生はない。地面は自然の状態で落ち葉が積もっている。その中への立ち入り制限などはない。全く自然の森の風景がそこにある。一角に日本庭園もある。時間帯のせいもあってか入園者の数も少なく男と女房はその自然の雰囲気を心行くまで堪能した。男は女房に冗談で「あの世に逝ったら二人で東大に入ろう」と言ったら女房は「お父さんももし母親が生きていたら別の道を歩んでいたと思う」とぽつりと言った。男の母親は男が10歳のとき世を去っている。

 この植物園を出て地下鉄茗荷谷駅までまた歩いた。ちょっと道に迷い中学3年生か高校1年生ぐらいの女子生徒が3人立ち話をしているところに寄って駅までの道を聞いた。その中の一人が「気が付かずすみませんでした」と言って丁寧に道を教えてくれて、「お気をつけて」と付け加えた。女房はその気働きと心遣いに大変感心していた。男は「あの子たちはきっと良い家庭の子だよ」と女房に言いながら何だか嬉しい気持ちになった。