2009年11月21日土曜日

デフレ(20091121)

 男の家では朝NHKの連続テレビ小説が始まるとチャンネルを民放に切り替える。今朝は激安ランチや激安ラーメンのことをタレントたちが話題にしていた。リポーターが激安ランチや激安ラーメンなどの店に行き取材しながら味を試していた。

 激安ランチのメニューは海鮮どんぶりである。マグロの刺身がご飯の上に乗っている。味噌汁も付いていて見たところ一食800円で売ってもよいような値段である。たまごご飯の店も紹介していた。値段は聞きもらしたが極端に安値であった。それはご飯に味噌汁に生卵と海苔が付いている。熱いご飯の上に落とした生卵は新鮮な如何にも栄養がありそうなものである。早朝の出勤のため家で朝食を時間がないサラリーマンなどに大人気である。一方激安ラーメンは100円でもう何十年もその値段で営業しえいるらしいが、チャーシューも海苔もメンマもちゃんと入っている。店の主人は「儲けは無い」と言う。

 一食290円のランチは利益が一食あたり30円しか利益が出ないらしい。それはそうだろう。従業員たちは一生懸命働いているが給料を十分貰っている筈がない。顧客を獲得するため過当競争を強いられているのだ。女房は「私なんか気の毒でそんな店では食べられないわ。安いからお客さんが沢山くるのだ。」と言う。

 タレントたちはただ感心してあれこれ評論しているが、誰一人として「これでいいのだろうか」ということさえ発言しない。安くておいしければ良いと、単純に考えているだけのようである。「安く食べられていいじゃないね」と呑気なことを言っている。男は視聴率が悪くは無いと思うそのテレビ番組のディレクターの頭の中を疑う。国の経済が大変な状況になりつつあるという認識はないからジャーナリズムの一翼を担っているという責任感もないのだと憤りを覚える。

 流石に菅国家戦略局担当大臣はデフレになりつつあることに危機感を抱いている。民主党は国民の消費活動を活発にする方策で経済を活発にするとし、旧政権の「企業活動を活発にすることにより経済を活性化する」という方策は弱肉強食だと批判してきた。男は、旧政権は民主党が言うように企業重視だけではなく一般国民の消費活動も活発にする政策を実行していたと思う。新政権もエコ家電やエコカーの推進を継続することにしたと発表した。高速道路の通行料を週末休日1000円にすることも続けるつもりである。

 何事も行き過ぎは良くない。男は鳩山氏が内閣総理大臣に指名されることになったとき、いよいよ自分たちの永年の夢がかなうと身震いするような思いであったというようなことを言ったことを鮮明に記憶している。民主党の諸君は平成維新という言葉で明治維新以来の体制をぶち壊す意気込みであった。男と女房は外交・安全保障の考え方が一致する自民党に票を入れたが、多くの国民は「自民党にお灸をすえる」ぐらいの軽い気持ちで民主党に票を入れた。その結果、民主党は投票総数の40%台の獲得であったにもかかわらず予想外に多くの新人候補者が当選させ、衆議院で圧倒的多数を占めた。その結果、議員の中には驕った気持ちで政治活動を行う連中もちらほら出るようになった。

 昨夜の衆議院での強行採決を男は残念に思う。政権交代は増大し極限に達した矛盾を解消しようとする運動のうねりがもたらしたものである。今また新たな矛盾が膨らみつつある。民主党に対する国民の支持も次第に下がって行くであろう。「驕れるものは久しからず」である。(関連記事:「国を憂える・・(20091102)」)