2009年11月19日木曜日

家事整理(20091119)

 平安時代皇族や貴族の家には家政機関があり、そこには今の官僚、当時の官人たちが勤務していた。勿論一般庶民の家ではそのようなものは現在も同じように無い。一般的には妻が自分の家の家政的部分を多く受け持っている。しかし、現代社会のように夫婦共働きをしなければやって行けない人たちが多くなってくると、夫も妻と同様に自分の家の家政的部分を受け持たざるを得ない状況になる。

 男の家では二人暮らしであり男も今は外で仕事をしていないので、家政的部分を多く分担している。その一つに家事整理がある。男は今日押入れの中を整理し、不要なものを全部処分する作業をした。保存してあった書類も保存の必要がないものを全部破棄した。

 男の女房は家事が大好き、綺麗好きである。家事はやればやるほど切りがないぐらい仕事がある。例えば壁紙が汚れてきたら、スポンジに洗剤をつけてふき取る。フローリングの床の光沢がなくなってきたらワックスをかけて光らせる。観賞用の鉢植えの花の手入れをする。熱帯魚や金魚の水槽の水を換える。天気が良ければ毎日でも寝具を外に干す。などなど結構仕事は多い。不精な人なら放置しておくようなことをこまめにする。だから男の家の中はいつも整頓されていて綺麗である。悪臭の元は全部断つようにしている。その上アロマオイルを3、4滴垂らした水を撹拌して霧状に噴射するものを作動させるので室内に良い香りが漂う。その装置はLEDでライトの色が変化し幻想的である。

 昔、貴族の家では貴族たちは家事に時間を費やす必要はなかった。食事は家政機関の女官たちが作ってくれるし、家の手入れもその職務を担う官人たちがやってくれる。紫式部や和泉式部など諸大夫クラスの家では公的な家政機関がなかったが個人的に雇った男や女がそれなりの規模で請け負っていた。従って彼女たちは文学の世界で思う存分才能を発揮することができた。現在はお手伝いさんという名称で呼ばれるが、戦前まではちょっとした家には女中がいた。一般的にいうと外に向かって大きな仕事をすることができる人は家族を持たず仕事一筋に打ち込んでいる人か、家族が居る場合は家の中に心を許す住み込みの家人がいる人である。サポートする人がいなければ大きな仕事はできない。

 夫の稼ぎが十分あり妻は専業主婦で家事・育児に専念できる人は、才能があればその才能を十分発揮することができる筈である。ところが近年女性の地位向上に伴い、外で神経をすり減らしながら働く夫を支えようという妻は少なくなったのではないかと男は思う。
男の女房は夫である男に本当に良く心身を捧げ尽くしてくれた。女房が心を許して親しく付き合っている友だちが女房に言ったことがあったそうである。「あなたは○家にこれまでよく尽くしてきた」と。そして男に「専業主婦の働きは給料に換算すると30万円ぐらいになるそうよ」と付け加えた。男の収入から女房に月30万円も払って行ったら家計は成り立たなくなる。しかし、男は自分の女房が千金いや万金の価値があると思っている。女房にそう言ったら女房は「普通の女なら誰でもそうする」と言うが、それは女房の謙遜で、男は自分の女房のように価値がある女は世界中どこを探してもいないと思っている。

 価値と言うものは磨きあげて行かなければ出てこないものである。それも夫と妻がお互い響き合いながら磨き合って行かなければ出てこないものである。しかし元々そのような価値が出る素材でなければならない。男は24歳のときそのような素晴らしい価値を手に入れることができたことについて、毎日いつも先祖の霊に深く感謝しているところである。