2009年12月6日日曜日

向こう三軒両隣のお付き合い(20091206)

 近年、都会地の特に集合住宅では、お互いプライバシーを尊重し合うのか、関わるのが面倒なのか、エレベータの中で顔を見合せても会話を交わさない人たちが多いようである。しかし男が暮らすこのマンションは僅か26世帯プラス会社の寮として2戸の小さなコミュニティであるのでお互いよく会話を交わしている管理組合の役員は3人で毎年交代するが26世帯中3世帯がオーナーではないのですぐ巡ってくる。

 このマンションには自治会はないので管理組合の役員が町内会から届けられる広報などの配布など自治会の機能も行っている。会社の寮には東南アジアの国から来ている技術研修生も生活している。男は日本語が上手にできない彼らにゴミの出し方などいろいろ教えたりしたことがある。最近は彼らも日本語が上手になった。しかし近く国に帰ると言う。

 このような小さい集合住宅だと住民がまとまりやすい。男が理事長であったときパティオみたいな駐車場で芋煮会をしたことがあった。また子供たちに楽しんでもらおうと、男が務めていた会社の敷地内の落ち葉を集めて持って帰り、近くの河原で落ち葉を燃やして芋を焼いたことがある。なにかのイベントをすればコミュニティはまとまる。

 10年に一度の割合で行われるマンションの大修理が男のマンションで行われている。今回は窓の枠のシールも交換するため全戸網戸を外した。ご主人が亡くなったりして自分ではできない網戸の取り外し等は修理業者が手伝ってやってくれる。男は網戸の網を全部自分で張り換えた。黒色の網にしたら前方が透き通ったように見えるようになった。これでまた10年ぐらい使うことになる。その時男は80数歳になっている。生きているかどうか、元気かどうか、まあ健康に気を付けていつまでも元気でいたいとは思う。

 男がこのマンションに引っ越してきたのは男が50になる前のことであった。今あれから2度目の大修理をしているところである。これももうすぐ終わる。住民は皆年をとったとつくづく思う。

 今夜近所の方からまた釣ったばかりのサバやイサキや干物を頂いた。魚をさばく作業は男より女房の方が上手である。女房が自分でさばくというので、男は女房に言われて干物を一匹づつサランラップに包む作業をし、それらを口が閉まる大きいビニール袋に入れて冷凍庫にしまった。冷凍庫の中は冷凍食品で一杯になった。おかずには当分不自由はしない。

 男の所には田舎からしょっちゅう何か送ってくる。今日は大分のカボスが一箱送られてきた。自分の家の庭先でとれたもので農薬は全くかかっていない安全なものである。男は早速近所の方に少しおすそ分けした。カボスの汁は焼き魚や味噌汁にかけると味が引き立つ。

 あっちこっちから年末の贈り物に対するお礼の電話がひっきりなしにかかってくる。今年は果物専門店で奈良県産の富士柿を詰めたものを贈った。これはとても喜ばれている。贈ったものがどんな味がするのか確かめるため、男の家にも届けさせた。確かにこれは豪華で、ほのかな甘さと上品な味がする。妹などは弾んだ声で、「柿は二日酔いに利くので嬉しい」という。男は親しい友人や先生、お世話になった方々に毎年贈っているのであるが、先方からもいろいろ珍しいもの美味しいものを贈ってくる。贈ったり贈られたりしてお互い喜びあう。形ばかりの心がこもっていないものを贈るのはケチと思われ、うわべだけの礼を言われる。馬鹿らしいことである。

 しかし、このようなお付き合いは女房が真心を尽くしてよくやってくれているから出来ていることである。男は女房のお陰で幸せな人生を送っていると、心からそう思っている。