2009年12月11日金曜日

やましき沈黙(20091211)

旧帝国海軍元将校たちによる400時間に及ぶ反省会のことについて、男は以前このブログに書いたことがある(2009816日日曜日「長崎への原爆投下(20090816)」)が、これに関連した内容で、128日の夜10からNHK番組で『“日米開戦”を語る、海軍はなぜ過ったのか』が放映された。男はこの番組を録画してあったので再生して観た。この番組は反省会を記録したビデオテープを見ながら戦前生まれの作家二人と旧海軍の歴史の研究に関わっている戦後生まれの方が対談し、この貴重な反省の記録を現在にどう活かすかという問題を視聴者になげかける内容であった。
8月に放映された『日本海軍400時間の証言』の反響は大きかったようで、特に30代、40代の人たちから今の組織の中の人々の行動は当時の海軍と言う組織の中の人々の行動と全く変わっていないことに驚いたというような感想が述べられたということである。男は、時代が変わっても日本人の行動様式はそう変わってはいないのだと思う。いつの時代でも先見の明があって時代を先取りし突出した行動を取ろうとする者は疎んぜられ、左遷されたり殺されたりする。突出した行動を取る者でも、真に強い者は生き残り王者となることができる。そのような人物は何百年に一人ぐらいしか出ないと思う。
日本では先の無謀な大戦で軍人・軍属の戦死者230万人、民間人の戦没者80万人、合計310万人という恐ろしいほど膨大な数の犠牲者を出した。近隣のアジア諸国における犠牲者の総数はもっと多いと言う。『日本海軍400時間の証言』から判ったことは、310万人もの犠牲者を出した戦争を起こしたにもかかわらず戦争の口火を切ったのは海軍という組織であって特定個人ではないということである。つまり責任の所在がはっきりしないということである。この状況は今でもあてはまりそうである。
民主党はマニュフェストを掲げて政権を取った。マニュフェストの実行は国民との契約の履行であるという論理を正しいものであるとしている。その契約の履行のため前政権が景気対策として打ち出した事業の一部を削った。前政権は先ず企業活動を盛んにして雇用を増やすことにより景気を向上させる方策を取っていた。これに対して現政権は個人の消費を増やすことにより景気を向上させる方策を取っている。前政権の政策は弱者切り捨てであると非難し、現政権は国民の目線で弱者の暮らしを保護する政策を実行するとしている。男は国家社会主義的な現政権に危ういものを感じる。
日米同盟の軽視、財政規律を無視した大量国債の発行、外国人参政権の推進などの政策により重大な問題が起きたとき、その問題を起こしたのは民主党という組織であり、民主党に政権を委ねた国民であり、警鐘を鳴らさなかったジャーナリズムやマスメディアであって、政治家である自分たちではない、と内閣総理大臣や閣僚たちは言うのであろうか?
鳩山氏は「もしマニュフェストに書いてあることが実行できなかった場合、責任をとる」と言ったが、日本をめちゃめちゃにしてしまった後、どのような責任を取るのであろうか?東条英機はA級戦犯として裁かれ、最後まで天皇を護って刑死した。徹底した組織行動をした海軍は一人もA級戦犯の刑死者を出さなかった。民主党も旧海軍と同じような行動パターンをとるだろうと男は予想する。民主党内には右派の議員も多い。しかし党の結束のため旧海軍と同じように「やましき沈黙」をするだろう。(関連記事:「YouTube20090819)」、「非核三原則(20090817)」、「長崎への原爆投下(20090816)」)

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