2009年12月1日火曜日

新幹線の予約(20091201)

 男の田舎の家は福岡空港から高速バスで1時間ちょっとのところにある。羽田と福岡間の航空運賃は新幹線に比べかなり安い。福岡空港から九州各地に高速バスが出ていて例えば宮崎に行くのも1時間半くらいで行くことができる。

 男は田舎に帰るときはいつもANAを利用している。インターネットで申し込めば楽に切符を手に入れることができる。切符と言ってもSkipで、ゲートでANAのマイレージカードをかざすだけである。座席指定もできるから早めに申し込めば運賃も安く、自分の好きな場所に座席を取ることができる。

 航空運賃は年末年始など帰省客が多い時期は高くなる。新幹線で帰るほうが格段に安い。そこで男は年末に田舎に帰るとき新幹線を使うことにしている。男はJR東海道などのカード会員になっていて1か月前の10時以降インターネットで申し込むと切符を買うことができるので、29日の朝、新横浜を出る列車を申し込んだ。帰りは予め指定する列車を決めておき、申し込みのボタン(パソコン画面上)を押すだけの状態にしておいて、123日の10時にそのボタンを押すことにした。というのは、年末年始は早い者勝ちで、もたもたしていると希望する列車が満席になってしまうかれである。

 実は以前は年末年始の休みの間、子たちが家族を連れて我が家にやってきていたが、九州の田舎に独り暮らしの老母がいて男と女房が年末年始の休みの間九州に帰ると皆が我が家に集まることができず、折角の休みの期間、家族の集いができない状況になっているのが問題である。老母は「休みが明けてから帰ってくれたらよい」と言ってくれているが、91歳の老母を独りだけにさせるのは近所の手前も良くない。

 そこで一応29日の切符は確保したが一日後の30日の切符を確保できないか当たってみることにした。折角大阪から子や孫たちがやって来るのに一日でも多く一緒に過ごすようにしたいと思ったからである。10時になったらすぐ申し込もうと思っていたがほかのことをやっていてつい時間を忘れ、10時半ごろインターネットで手続きをした。しかし既に遅し、13時以前の時間帯では切符が取れなかった。朝早い時間ならあったがこの齢になって時間を気にしながらあわただしく動くのは億劫である。そうでなくても田舎に帰り老母の面倒を診るということは疲れることである。

 後でわかったことであるがJR東海のインターネットで切符を取る仕組みでは「予約」という制度はなくいきなり「購入」する仕組みで、購入後取り消せば700円ほど手数料が取られる仕組みとなっている。その点ANAでは予約と購入は別になっている。JR東海の仕組みは一言で言うならば‘ガメツイ’。キャンセル料で少しでも多く稼ごうという魂胆である。

 田舎の家が農家で大きな家を爺と婆が百姓をしながら守っているところでは、都会で暮らす子や孫たちが田舎に帰るのを楽しみにし、じいとばあも皆が帰ってくれば疲れるけれど嬉しいというような家族は少なくはないが驚くほど多いというほどでもない、と男は思う。本当はそういう家族が多い社会ほど平和で心が豊かな社会だと思う。日本は決して豊かな国ではない。スーパーでその日の食料を買うにもあれこれ思案し、安い粗末なものを買っている人は少なくない。不況で失職し生活保護を受けるようになった働き盛りの年代の人たちも多い。男のように年末に子たちが帰ってくることと自分たちが田舎に帰ることが重なることで悩むというのは贅沢過ぎると男は思う。