2010年4月15日木曜日

ブッダ『感興のことば』を学ぶ(26) (20100415)

ブッダのことばを記した書物を読んでいるが、『感興のことば』第3章「愛するもの」に次の二つのことばを見つけた。

18 どの方向に心でさがし求めてみても、自分よりもさらに愛(いと)しいものをどこにも見出さなかった。そのように、他人にとってもそれぞれの自己がいとしいのである。それ故に、自分のために他人を害してはならない。
19 すべての者は暴力におびえている。すべての(生きもの)にとって生命が愛(いと)しい。己(おの)が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。

これらのことばは、その前に「もしも自分を愛しいものだと知るならば、・・」ということばではじまる幾つかの言葉に続いている。
人は皆、「自分を愛しい」と思っている。しかし私自身を含め一般の凡夫は「自分を愛しい‘もの’だと知ること」を忘れている。他者も自分と同じように「自分を愛しい」と思っていることまで心が及ばない。人はその身になって見なければ相手のことは理解したつもりであっても実は理解できていないものである。
人は皆、「自分を愛しい」と思っているから、他者が自分より優れているとその他者を下に引き落とし、自分がその他者よりも優位に立とうとする。何かの形でその他者を差別しようとする。‘いじめ’はその他者を自分一人では力が足りないので集団で一人の‘憎いやつ’を下に落とし、自分が優位に立とうとする無意識の行動である。
この心理状態はただ単に一個の人間だけが持つものではない。人間の集団、組織、最も大きな国家という組織においても存在する。その心理状態は、‘集合的無意識’である。
わが国は今どういう状況に置かれているのであろうか?価値観を共有できる親しい国・アメリカとの間に安全保障をめぐって隙間風が吹いている。核サミットでは普天間の問題もあって日本の影は薄かった。アメリカの新聞には一面トップにオバマ大統領と個別に会見した各国首脳とオバマ大統領との写真がずらりと並んでいた。しかし鳩山首相とオバマ大統領の夕食会での写真はアメリカ政府が日本向けにリリーズした写真であった。日本の新聞やテレビ報道で示されたこの写真で多くの日本人はアメリカと日本の間は緊密であるという幻想を抱いていて事態の深刻さに気付いていない。
旦那と妾の関係を日米関係に当てはめれば、旦那はアメリカ、妾は日本である。単独では生きる力もないのにひたすら旦那の愛に、情けにすがっていい顔をしようとする。「Trust me」と言う。「あたしを信じてね。今ちょっと都合が悪いの。」と言っているようなものである。戦争に敗れはしたがかつての強かった日本は何処に行ってしまったのか!
「たちあがれ日本」の石原都知事が、半ば泣き顔で「(このような老いぼれたちを)立ち上らせたのは誰なのだ!」と叫んだ。まことに悲しいことである。

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