2010年7月31日土曜日

自己保存(20100731)

  あらゆる生物は自己を保存しようとする。あらゆる生物は自己の種が存続するように進化を遂げてきた。そしてなおかつ進化を続けている。

 人も同じあり、人の組織も同じである。人はある組織の一員になると、その組織で多少の恩恵を受ける限り、その組織を存続させるように行動する。

 行政改革がなかなか進まないのは、行政のそれぞれの組織の一員として、それぞれ自分が所属している組織を守ろうとするからである。国の省庁では、官僚は自分が所属している省庁の利益を第一優先に考えるのは自然の理である。官僚は「国の為」という大義は掲げ、その大義の為としながらも、巧みに自分が所属している省庁の為行動しようとする。

 省庁の利益を抑え、国の利益に資源を配分することができるのは国会議員である。しかし国会議員たちが国の為十分な識見を持っていないと、結局官僚の頭脳と組織力に太刀打ちできない。公然と「官僚たたき」と発言して得意になっていた国会議員たちはお粗末この上無い。マスコミはそのような国会議員たちを批判する能力がなく、大衆に迎合し、利益を得ようとする。マスコミも結局は一つの‘組織’である。自己保存の行動をする。

 古来、天皇は国の為ある時期は自ら政治を行い、武士の時代には武士の組織に利用されながらも常に大局を観、国を正しい方向に導いてこられた。勿論その陰には天皇を補佐する貴族たちがいた。わが日本国には世界に類例のない万世一系の天皇制が2000年以上続いてきたのである。誰がなんと言おうと歴史書に書かれていることは尊重すべきである!

 明治時代、日本軍が朝鮮半島への南下をたくらむロシアを排除するため清国(当時の中国)と戦ったのが日清戦争である。その後日本軍は中国を食い物にしようとしたロシアやドイツとも戦った。そして勝った。この史実を歪曲して、日本が中国本土や朝鮮半島に侵略を企てたと主張する‘国賊’がいる。似非‘インテリ’がいる。皆軽薄、大馬鹿どもである!

 日清戦争が始まろうとするとき、明治天皇は歌を一首詠まれた。それは;

  四方(よも)の海(うみ) みなはらからとおもふ世に 

                     なぞ波風(なみかぜ)の たちさわぐらむ

というものである。

 「はらから」は同胞のことで、その意味は同じ母から生まれた子供のことである。

 天皇は、いつの世にも万民の幸せを祈ってこられた。今上天皇陛下も宮中で毎日その祈りの行事を続けておられる。日本国民にとってこんな有難いことはないのだ!

 その有難さに気付かない輩が余りにも多すぎる。男は再三再四言うが、その責任は男を含む60代以上の年寄りにある。皆「教えざる」の罪がある。

 さて、自己保存であるが、民主党大会で小沢グループの者たちが声を張り上げ、執行部の責任を問うたのも、彼らの自己保存の行動である。自己保存力の強いものが勝つ。

 世界中であらゆる組織はそれぞれ自己保存の行動をしている。それは自然の理である。日本人は‘かれら’に魂を抜かれ、自己保存の行動が乏しくなってしまっている!