2010年11月5日金曜日

だんご汁(20101105)

  亡くなった叔父の縁で今まで会ったことがなかった従弟の家に泊った。その家で全く気兼ねもなく楽しく過ごした。初対面だった従弟の嫁さんにも、また娘さんにも、飼われている犬にも全く不思議なくらいに心理的な垣根が無かった。叔父の生前、叔父の思いが一方通行だった甥っ子である老人が、叔父が他界して其処に姿が見えないのに、あたかも其処に叔父がいるように、今度は男があの世にいる叔父に対して一方通行の思いを致している。これが「不思議」である。その叔父よりも年下であったが既に他界しているもう一人の叔父の妻が、男に「それがご縁なのよ」と真剣に言う。男もそう思う。

  男は叔父の遺骨が安置されているそばで休んだ。従弟の嫁さんが男の寝どこの準備をしてくれているそばで、叔父の遺骨が安置されている祭壇に向かって、線香を灯し、鐘を鳴らし、「南無阿弥陀仏」と声を出しながら手を合わせ、そのご縁のことを感謝した。

    今日4日も秋晴れの良い天気である。男は従弟の車で送られて駅に向かった。途中、叔父の遺骨が納められる新しい墓所に立ち寄った。従弟が2年前に造ったという立派なお墓に巻いた。その新しいお墓の主として、この地に礎を築いた叔父の遺骨が納められる。

    従弟は叔父の長男として立派にその役目を果している。昨日、火葬場で撮った従兄弟たちの集合写真が完成したら、従弟に依頼してその写真をその墓前に報告して貰おうと思う。従兄弟会を作れ、というのが叔父の生前の思いであったから、あの世で叔父は喜ぶだろう。

    男は2時過ぎに継母が独り住まいしている家に着いた。継母はデイサービスに行っている。お天気が良いので男は継母のベッドの寝具を日に干し、近くのデパートで茶菓子一箱を買いそれを持ってホームヘルプサービスを提供してくれている社会福祉法人の事務所に行った。目的は日ごろ継母が世話になっているお礼かたがた男が滞在中は継母へのホームヘルプサービスを断るためである。もともと家族がいるときは介護保険によるサービスは受けられないことになっている。

    帰りにACOOPのスーパーに立ち寄りだんご汁の材料や果物などを買い込んだ。男はだんご汁が大好きである。だんご汁は大分名物である。男料理のだんご汁は中身が豪快である。玉ねぎ、人参、ジャガイモ、かぼちゃ、茄子、ピーマン、豆、肉、いわしのつみれ、いりこ、竹輪、かまぼこなどなどなんでもごっちゃに水煮して素材の旨味を十分引き出す。そして団子を伸ばして入れ、味見しながらフンドーキン味噌を加え、良く煮る。団子は強力粉をしゃもじ山もり一杯ボウルに入れ、微量のグリセロリン酸カルシウムが加えられるアルカリイオン水を加えて練り、親指サイズにちぎってだんご状にして、熟成のためしばらく寝かせておき、それを引き延ばしながら程度の長さにちぎったものである。

    デイサービスから帰って来た継母は、「デイサービスで美味しいものを食べておなかがいいから夕食は要らない」と言っていた。しかし、どんぶり茶碗に盛っただんご汁をみて「おいしそうだね」と言う。男が「食べる?」と聞くと「ちいっとでいい」と言うので、どんぶりお茶碗に少しいれて差し出した。継母「これは美味しい」とかなり食べた。