2010年11月18日木曜日

商人根性(20101118)


  住友商事のある幹部がテレビで、ロシア大統領が北方領土を視察し、我が国がこれに抗議したが、ロシアは我が国に一層の経済協力を求めていることについて「この機に我々は会社のため、ロシアのため商業活動をする」という趣旨の発言をした。この発言の中に「日本のため」という言葉は無かった。言わずもがな、ということであったのか、貿易でロシアだけでなく日本も得をすると考え敢えて「日本」のことに触れなかったのか。

  NHKテレビ連続ドラマ『龍馬伝』で三菱商事創始者岩崎弥太郎の父親が土佐に帰郷した龍馬歓迎の宴席で自分の息子・弥太郎が武士の魂を忘れて金儲け走っているのではないかと心配して「武士の魂を忘れず商いをしてもらいたい」と言ったら、龍馬は「弥太郎さんは日本のため頑張っちょる」というようなことを言った。父親はそれを聞いて安堵したという場面があった。

  老人が若いころ上司であった元陸軍士官学校54期生だった方は、若かった老人に「マレーでイギリス軍を駆逐し、植民地を解放したあと、商人たちがやってきて悪いことをした」というようなことを言っていた。その方は既に鬼籍に入られているが、この国では士魂をもった世代がいなくなり、上記の商社マンのような連中が金の力でこの国を動かす時代になったのだと老人は嘆いている。

  今日(7日)の読売新聞で中国のミサイルは在日米軍基地を攻撃する能力を有しているとか、ヘリコプターを搭載した中国の漁業監視船が東シナ海に向かったという記事が出ている。その一方で尖閣ビデオを公開した海上保安官に対し、免職・降格・減給などの区分がある行政処分が検討されているという記事が出ている。

    また菅首相が中国の胡錦濤主席と会ったとき、菅首相は胡錦濤主席に目を向けることなくペーパーを読み上げたという。国の代表として相手の国の代表に対談するとき、相手の眼を見据えて話すべきである。昔武士の時代、殿様に会うとき平伏して「表を上げよ」と言われるまで殿様の顔を見なかった。菅首相の態度はそれに似ている。中華思想を前面に推し進め、周辺の国々を柵封下に収めたいと心中思う中国人たちは内心喜んだに違いない。

    この国の指導者たちは情けない。件の海上保安官は弁護士を通じて「今回私が事件を起こしたのは、政治的主張や私利私欲に基づくものではありません。ただ広く一人でも多くの人に、遠く離れた日本の海で起こっている出来事を見てもらい、一人ひとりが考え判断し、そして行動して欲しかっただけです」と言っている。彼らとは雲泥の差の感覚である。

    国境の海で空で海上保安官や自衛官(老人は‘軍人’と言いたい)たちは国の為命がけの働きをしている。遠く故国を離れた外国で自衛官たちはPKO活動に従事している。この事実を平和ボケし、特に概ね60代以上のひとたちに是非認識して貰いたいと老人は思う。

    近現代史を勉強するにつけ、「国」という組織体は、熊やライオンなどの動物と同じで、縄張り争いをし、自分の勢力権を拡大しようとしている実態を、日本国民は知らなければならないと思う。この国は、近現代史教育に力を入れるべきである。

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