2010年11月27日土曜日

パワーゲーム (20101127)


  人も国家も動物も、基本的には同じ動きをする。相手より優位に立ちたいと願望し、優位に立つことを「自己実現」と考える。もっとも動物の「思考」の中身は、は男が勝手に想像するだけであるが・・・。

  一人の‘人’のパワーよりも、その‘人’が複雑、かつ機能的にネットワーク化された集合的組織体である‘国’のパワーほうが、勿論比較することは馬鹿げているほどでかい。でかいに決まっているが、人々はその基本的な部分で人と国家と動物を‘比較’することの意味を考えようとはしない。

  人の頭脳は幾つもの分野に分かれ、各分野は身体の各部の機能にそれぞれ関わっている。同様に国の機能も幾つもの分野に分かれ、各分野は国家という組織体の各部の機能にそれぞれ関わっている。動物は知能が低いというだけで、基本的には人や国家の場合と同じである。しかも、動物は生存のため視覚や聴覚や臭覚などが人以上に優れているものが多いし、運動能力も人以上に優れているものが多い。

  国家という組織体の中で、勿論、政府という頭脳の前頭葉の部分は最も重要である。国家という組織体は科学技術を駆使して、国家の存続の為に必要な能力や機能を高めるように努力している。どこの国でもその点は同じである。

  国家という組織体は、自らの「自己実現」を目指し、しばしば国際的ルールを無視して行動する。中国や北朝鮮やロシアがそうである。我が国はこれらの国々に対して、「公正と信義」に頼り、おろおろしながら「冷静に、冷静に」対応しようとしているだけである。

  しかし、そもそも昔から「武」というものは何故あるのか?それは、先にも言ったように人も国も動物も皆基本的に同じような部分があり、相手の出方次第では自衛自存のため戦わざるを得ないからである。

  今回、北朝鮮による韓国の領土・ビョンヒョン島に対する砲撃に対して、アメリカ海軍は原子力空母1隻とイージス艦4隻を黄海に派遣し、韓国海軍と合同の軍事演習を行うことになった。これは前から計画されていたものである。以前はその種の合同演習は中国に配慮して日本海で行われていた。しかし、北朝鮮が中国を味方にして挑発を止めないため、今度は中国大陸と朝鮮半島の間の黄海で演習を行うことになった。

  その狙い、真意は軍事上の機密で絶対明らかにはされないが、男は上に述べた動物の行動に対比して考えるとき、それは中国と北朝鮮に対する圧力であると思う。中国はそれを非常に嫌がっている。何故ならもし中国が韓国に対して軍事行動をとり、北朝鮮の南進と朝鮮半島統一を支援しようとした場合、そこにアメリカ海軍と韓国海軍のパワーが展開されるとその意図は実現しないからである。

  人も国家も動物も「自己実現」を目指して、人は人に対し、国家は国家に対し、動物は同じ種の動物に対し、闘争する。皆、自分が他者に対して優位に立ちたいのである。皆、自分が他者を圧倒し、差別したいのである。それが、生物の性である。

  「武」を軽んじる政治家や官僚、「武」に憧れながらも「武」忌み嫌う庶民、そういう国は他国から敬意を払われず、軽蔑されるだけである。