2012年4月11日水曜日


うろいよこい(20120411)

 子供の頃、雨が降って農作業を休むとき「うろいよこい」と言っていた。「「うろい」は「潤い」、「よこい」は「ま、ようこうちくり」という「よこう」で「休む」ことである。「よこうちくり」は「休んで下さい」である。男は終戦後の8月、母、弟、妹の四人で朝鮮から引き揚げてきて、親父の実家に帰っていた。親父は9月末に引き揚げてきた。まだ9歳だった男は皆から「きれいな言葉を話す」と皆から褒められていたのを覚えているが、だんだんに言葉が悪くなり方言丸出しのしゃべり方をするようになっていた。そのころの記憶で「うろいよこい」という言葉がある。同じ大分で育った男の女房に「今日は雨だ、うろいよこいだね」と言っても女房は分かるが、子供たちには怪訝な顔をされるだろう。子供たちのまえで「うろいよこい」と言ったことはないが・・。
 
久しぶりパソコンのメールを開いたら、先日の管制施設見学会の写真が送られてきていた。男も自分がスマートフォンで撮った写真を写っている方々に送ってやった。男のスマートフォンもパソコンも富士通製である。スマートフォンからパソコンに写真を送りときF-LINKという機能を使う。これはスマートフォンとパソコンとの間でデータのやりとりや共有が出来るシステムである。伝送速度は結構速い。

 パソコンに取り込んだスマートフォンで撮った写真は、PhotoStudioという写真処理用のソフトウエアを使って自動補正と自動ノイズ調整をかければ結構良い写真に修整される。男はこういう作業に手馴れている。「習うよりは慣れろ」で、とにかく「おたく」のようにパソコンに接していないとなかなかこのレベルには達し得ないものである。
 
NTT西日本に申し込んで、今度母が入所する老人施設の母の部屋に電話を引くように手配した。この4月にオープンしたばかりのその施設は母の終の棲家となる。NTT西日本から新しい電話番号の候補が五つ示された。その中の気に入った一つを母が終生使う電話番号にした。NTT西日本の窓口の担当者曰く「いい番号ばかりです。あまりいい番号だと間違い電話がかかってくる可能性があります。〇○○や×××などはもと何処かの会社が使っていた番号だと思います」という。だったら最初からそのような番号を外して提示してくれればよいのに、と思う。しかし廃止された電話番号リストの中から無作為に出てくる仕組みだから仕方がないらしい。男は女房と相談して気に入った番号を一つ選らんで決定した。その番号は以前やくざの組織で使われていない番号だろうと思うが、母のところに怪しい間違い電話がかかって来ないように願うしかない。NTT西日本によると、一度決定した番号に不具合がある場合は、一度だけ無料で新しい番号と取り換えることができるという。

 物事がよく転がるか、うまくゆかないかは運次第である。運には強運の人も悪運の人もいる。いつも運がよく転がる人もいれば、いつも悪運がついてまわる人もいる。同じ人間なのに何故そのような差がでてくるのか? 男は、それはその人の前世からの定めだと確信している。「そんな馬鹿な、不合理なことがあるものか」と反発する人もいるだろう。しかし、「地獄・極楽はこの世」にあると言う人もいる。良い心がけ、良い行い、素直な心、正しい心の人には、常に「良い巡り合わせ」があるようである。一方で、「悪いめぐり合わせ」も見方を変えれば、それは「良いめぐり合わせ」と取ることが出来る。物は考ええようである。取り方次第である。素直にそう考える事が出来る人は常に幸せである。

 ひさしぶりの「うろいよこい」なので、男は自分の部屋にとじこもりきりでさっきいった写真の処理などに集中していた。女房から「回転焼きをチンしたよ」と声がかかる。この回転焼きはそごう地下食品フロアの人気商品である。女房は時々10個買ってきては、冷凍庫に保存している。女房は男に出来るだけ多く水分補給をするように勧めてくれている。年寄り二人暮らしの質素なティータイムである。緑茶を飲みながら女房は「パソコンの前に座りっきりで疲れない?」心配顔である。「テレビを見ていたら、良く居眠りをする人やあくびをする人は疲れているんだと。疲れたからと栄養ドリンクを飲む人がいるが、あれは健康に良くないんだって。お父さんは電車の中でもすぐ居眠りするし、私テレビ見ていて独りで笑っちゃった」という。「うろいよこい」でパソコンの前に座っているが、お蔭で今日は多くの事が出来た。

 この「うろいよこい」の日、女房は昨日スーパーで値段が安くなっていたから買ってきたという孟宗竹の筍を米ぬかで煮込みあくを抜き、今日それを料理している。今夜の夕飯のおかずは筍の煮物である。20年も前男が勤めていた衛星管制施設に隣接する竹林の持ち主のI氏のご厚意で女房と一緒に其処で筍狩りをしたことがあった。あれは面白かった。