2012年4月1日日曜日


TPPの入り口で混乱が起きる原因について考える(20120401)

テーマに対する斬り口として、アメリカを現代の「ローマ帝国」というとらえ方をする。その「ローマ帝国」の軍事力は日本の科学・技術・工業力に多くを依存している。その日本が環太平洋地域でアメリカを排除し、過去の戦争の原因と結果について怨みの念をもち、アメリカから離反しようとしていると見たら、その「ローマ帝国」はあらゆる手段を使って日本を弱体化させようと試みるであろう。現にそういう動きが見られる。

日本は「生き残る」ため、まだ暫くはその「ローマ帝国」の権益の版図の中に、居残る必要がある。幕末の武士は「己の力」を知り、アメリカの真意を知り、アメリカに恭順の意を示し、アメリカの協力を取り付けた。勿論不平等条約を押し付けられはしたが・・。

その「ローマ帝国」は何れの日にか衰退し、シナ王朝(現在の中国共産党主導部をシナ歴代の王朝の体質と変わらぬと見てそう名付ける)の国家、またはインド、あるいは「東ローマ」の末裔のようなロシアが世界の支配者になろうとするかもしれぬ。

遠い祖先(日本列島にしか居ない遺伝子を持つ縄文人、そして後に長江中流域で漢族の圧迫を受け、漢族との交雑もあっただろうと思われる民族が東シナ海或いは海岸伝い・シナ大陸伝いで朝鮮半島を経て日本列島にやってきた渡来系弥生人(彼らはジャポニカ種稲作文化をもたらした)がこの日本列島で交雑しわれわれの祖先となった。縄文人の形質の分布は北海道と沖縄に多い。

こういう特殊な民族である日本人は、今国際化の中で白人種・黒人種と交雑も僅かであるが進行している。鹿鳴館は日本が欧米と肩を並べるための涙ぐましい努力の証であったし、それ以前からヨーロッパ白人と結婚した日本女性はちらほらいた。それが戦後特に増え、アフリカ系のアメリカ人と結婚した日本女性も多い。日本女性と結婚し日本に帰化した欧米系の人も多い。何世紀も経れば血は拡散し日本人の容貌もアジアでの特殊性をますます印象付けるものになるだろう。そこが国境の向こうの国々の人々とは違う。

こういう日本であるから、「ローマ帝国」衰退の後は、日本は「東方の光」となって、衰退したアメリカや、「国家」と「国民」が一体化していないゆえに「王朝」が入れ替わるシナ、そしてインドやアセアン諸国、つまり環太平洋地域の国々の盟主・宗主になることができる可能性を秘めている。

日本は右往左往することなく、己の出自と特徴を知り、現実を見つめ、遠い未来を見通し、万世一系の天皇をいただく国体を堅持しながら粛々と進んでゆけばよい。

TPPはそういう視点から捉え、わが国に最大の利益をもたらすように交渉して行けばよい。交渉で不利にならないようにあらゆる方法で譲歩を迫ればよい。モンサント社の横暴を許してはならぬ。アメリカを動かすための署名活動も大いに促進すればよい。TPP反対の運動も大いにやればよい。そういう反対の声は「易学」でいう「折衷」のため必要である。自分が「生き残る」ため、同じように「生き残り」たい相手を封じ込めてしまうのは結局自分の「生き残れ」ないことになる。何事もそうである。対立軸は必要である。

ただ、注意すべきはアメリカが嫌だからシナ(彼らの言う「中華人民共和国」)を取り込もうとか、腰が据わっていない右往左往は「武士」のやることではなく、利害得失・損得勘定で行動する「商人」のやることである。

繁栄のため「商い」は大いに振興させなければならぬ。商いの道「商道」は国境を必要としない。「商道」は、「国家」の下の人民(日本は天皇がいて国家・国民一体のような国であるから「人民」とは言わぬ)とは仲良くなれる道である。しかし「商道」は「国体」には重きを置く必要はない。

それに対して日本国の政治の道「政道」は、国境をしっかり守り、国境を挟む向こうの国の「性格」をよく見ぬき、軽々に気を許さぬ態度が必要である。シナ王朝(中国共産党指導部)に決して気を許してはならぬ。アメリカが押し付けるTPPは嫌だから、シナ(中国)・韓国を取り込んでアセアン域内で大いに貿易をやり、ゆくゆくは経済統合・政治統合を目指そうと言う考えの人達もいるようであるが、とんでもないことである。