2012年4月22日日曜日


見舞い(20120422)

 何処からかカジカガエルの鳴き声が聞こえてくる。今朝はまだ霧雨が降っていたが午後からは空が晴れて明るい陽射しがあり、穏やかな温暖な気象になった。

 男と女房は徒歩で10分ほどの所にあるK記念病院に入院中のKちゃんの見舞いに行った。K病院には消化器外科がある。Kちゃんは極度の便秘から腸炎を誘発し、ついに手術により腸を切断し、其処から直接外に便を排出させるという大手術を受けた。経過良好で、まだ点滴による栄養補給を受けているが顔色もよく、後十日ほどで普通どおり経口で食物を摂ることができるようになるという。Kちゃんは今年輪番で独り暮らしだった婆さんが所属する組の組長をしていて、組の方から23人、婆さんが新設の特養に入居するまでの間ショーステイで入所していた時婆さんの見舞いにきてくれていて、その数日後にK記念病院に入院してしまっていた。そのことを男と女房は懇意にしている近所の人から聞いていたので、婆さんの特養入居が一段落したのでお見舞いに行ったのである。

病気見舞いと言えば、隣のAさんのご主人も婆さんが特養入居のO病院に検査入院してしまったという。Aさんご夫婦は婆さんが特養入居の日の朝、わざわざお別れに来てくれた。男は玄関先で婆さん・Aさんご夫婦・女房4人の姿をスマートフォンカメラで撮ったが、念のため3枚撮った写真のいずれも良く撮れている。Aさんの見舞いにはその写真を印刷して持って行こうと思う。

 この小さな町には人口の割には医療機関が多く、町内を循環バスが運行されており、人々の安心が確保されている。Aコープのスーパーがあるすぐ近くに農家の人々が持ち込み販売する「良心市」があり、広々とした駐車場の脇に清潔な公衆トイレが設置されている。その店内を回っていると一人の老いた農夫が「天然のたらの芽じゃ」と台の上に10束ばかり並べていた。この店の中には販売担当の女性が一人いるだけだった。女房はその「良心市」でゆで餅とおかきを買った。いずれも農家の人たちの手作りである。

この町には朝7時から利用できるコインランドリーも何か所かあり、男の家から徒歩5分ぐらいのところにもそれがある。この町の中央に川が流れており、川岸に菜の花など花々が咲き乱れている。まだ水が入っていない水田には蓮華草が咲き乱れている。

人々は皆穏やかで善意に満ちている。K記念病院に行く途中、道路わきの小さなビニールハウスの前を通るとき声をかけられ立ち寄ったら、ハウスの中に招き入れられその場で新鮮な幾種類かの野菜を切り取ってプレゼントされた。女房がせめて200円でもと差し出すと「要らん、お金を貰うぐらいなら野菜は上げん、わしが呼び止めたんじゃから」と断られてしまった。

 Kちゃんの見舞いをしたので今日は婆さんの所へは行かないことにし婆さんに何度も電話を入れるが婆さんは出て来ない。多分隣のUさんとダイニングルームかUさんの部屋で痴呆同士が同じ話を繰り返して話しているのであろう。これでは婆さんの弟妹たちが婆さんに電話してもなかなかつかまらないだろう。

 以上の描写は男と女房が生きているときの風景の幾コマである。女房はいっぺんに疲れが出て、居間で昼寝している。