2012年4月16日月曜日


寝ずの番(20120416)

 婆さんをショートステイから連れて帰った。婆さんにとって4か月ぶりの‘わが家’である。男と女房は昨日庭や小畑の草むしりを粗方しておいた。今日もお天気がよい。花壇にはチューリップの花などが美しく咲いている。婆さんは庭に出て辺りを眺め、芝生の中の雑草を抜き始めた。男も一緒に手伝った。長年独り暮らしの婆さんのため、女房は花壇を作り時期時期にいろいろな花が咲くように心配りをしていた。しかし明後日から婆さんは新築の特別養護老人ホームに入居する。男も女房もこれまでのように頻繁に帰ってくる必要はなくなった。盆正月に帰る程度で良くなった。

 男はその新築の老人ホームに行ってみた。婆さんが入る予定の部屋を見せて貰った。この施設は非常に良くできている。ケアの体制も万全である。この施設を経営するT病院は10名ばかりの第三者委員を嘱託している。この施設に隣接するA医院が入所者の医療面を担当することになっている。ケアマネージャーは婆さんがこの施設に入ることが出来るのは非常に運であると言う。男は婆さんが8年前がんを患ったあと主治医のK先生のアドバイスで町内の幾つかの特養や老健施設入所の申し込みをしてあった。そのことが今回婆さんの認知症発症で功を奏した。

 婆さんの大好物はうなぎである。婆さんの夕食はうなぎと決めた。男と女房は刺身にした。体が生魚を要求している。その夕食の材料を買うため、女房は婆さんを運動を兼ねて押し車を押させて連れだした。ショートステイの食事は特別良い物でもなく、また悪いものでもない。婆さんは「これは美味しい」と目を白黒させて何度も口にした。余程好物のなぎが美味しかったらしい。女房は「うなぎは高かったのよ」という。

 男はその施設見学の帰りにマッサージの整体院に立ち寄った。左の上腕が痛むからである。その整体院の若い先生、「これは凝っていますね。皆さんは自分の肩や背中などが凝っていることを自覚しないのです」と言う。治療して貰ってすこし楽になった。明日また其処に行くことにした。

 今夜はばあさんがまた深夜徘徊をしないように男は寝ずの番をすることにしている。一晩中起きているというわけではないが、ばあさんがトイレに起きる時間頃まで婆さんの部屋に近い廊下の突き当たりの部屋でフェイスブックやツイッターなどを見て、パソコンのキーボードを叩いていようと思っている。婆さんには‘前科’があるので玄関には車いすや姿見などを置いて婆さんがそう安々とは外に出られないようにした。その他の出口も婆さんがそう簡単には動かせないような障害物を置いた。睡眠不足は明日昼寝をして解消するつもりである。