2012年5月24日木曜日

聖武天皇(9)「1350年前も現在も東アジアの情勢は同じである」(20120524)

 神亀三年(726) “夏五月二十四日 新羅使・薩飡(さつさん)(第八位)の金造近らが来朝した。”
 “六月五日 天皇は宮殿の端近くに出御し、新羅使は調物を貢上した。”
 “六月五日 金造近らを朝堂で饗し、地位に応じて物を賜った。”
 “秋七月十三日 金奏勲(金造近)らが帰国した。その際璽書(じしょ)(天皇の印を押した文書)を賜り、それには次のようにあった。
 勅(みことのり)する。伊飡(官位第二位)の金順貞よ。卿はかの国内を安らかに治め、わが朝廷にも忠実に仕えた。ところが貢調使薩飡金奏勲らは奏して「順貞は去年六月三十日に卒しました」という。哀しいことである。順貞は賢臣で、よく国を守りまた朕が股肱と頼むところであった。今はもういない。よい臣下を失ってしまった。ここに黄絁百疋・真綿百屯を贈って弔う。汝の功績を忘れず、せめて体を離れた魂にこれを贈る。”

 聖武天皇の御世も、日本はシナ(唐)や新羅との間で緊張関係にあった。天智三年(663年)、日本は今のインチョン(仁川)近くの白村江で、シナ(唐)と新羅の連合軍と戦い、大敗した。この戦いは当時シナ(唐)に侵略されていた百済からシナの勢力を追い出すことが目的であった。日本は朝鮮半島に進出した13万人のシナ(唐)・新羅連合軍と戦って敗れた。400年前神功皇后によって確保されていた朝鮮半島における日本の権益は、同盟国・百済の滅亡とともに一切失ってしまった。

 江戸時代末期の歴史家で詩人の頼山陽は、「シナと日本とどちらが得をしたか。忠義の人々(百済人)は皇室に仕え、末代まで皇室を守った」ということを詩に書いている。後漢滅亡時も非常に多数の漢人・韓人が日本に渡来して帰化し、天皇から身分に応じて氏姓を授かり、皇室の力になった。その子孫は多くの家・名字に分かれた。

 白村江の敗戦はシナ(唐)と日本との海軍力の差が原因である。勿論唐軍は陸海軍合わせて13万人、日本軍は42千人あまりという兵力の差はあったが、海軍力に限って見れば唐の海軍は170隻、これに対して日本海軍は先方の記録では1000隻となっている。戦闘船の数が多くてもシステム的には貧弱で、洋上における戦闘経験も無かった。

戦後半世紀ほど経った後であったがシナの皇帝の冊封下にあった新羅は、自主独立している日本の動向が気になっていたのであろう。一方、シナも高句麗や渤海のことが気になっていた。日本もシナの動向が気になっていた。だから日本は大使を新羅に派遣し、一方新羅は自主独立の国・日本に朝貢して敬意を表していたのである。

このような状況は今も変わらない。日本人は経済・貿易関係でシナ(中国)での市場を拡大したいと考える一方で、シナ人(中国人)を警戒している。むしろ嫌っている。同様に韓国・北朝鮮人の深層心理にはシナ人(漢人)に対する警戒心があると考えられる。その一方で、シナ人(中国人)も韓国・北朝鮮人も天皇がいる日本に対しある種の羨望があると考えられる。

特に竹島・日本海・従軍軍慰安婦問題・日本の文化乗っ取りなど一部(或いは多数の)韓国人による反日活動については非常に腹立たしいものがある。先日英国のチャールズ皇太子がDJ(ディスクジョッキー)に出演するというテレビ報道では、チャールズ皇太子の隣に韓国系と思われる女性、その隣にアフリカ系の女性が立っており、主としてアフリカ系女性が皇太子にいろいろ説明している場面があった。イギリス女性は一人もいなかった。これは韓国による何か意図的な工作の一つではないかと疑いたくなる。つまり、日本の皇室の一般大衆化工作が主眼で、実はチャールズ皇太子は利用されているのではないか。

一部の(或いは多数の)シナ人(中国人)も一部の(或いは多数の)韓国人も、日本に皇室がなくなることを潜在的心理として持っているに違いない。沖縄米軍基地反対・北朝鮮主体思想礼賛・反歴史観思想著述・女性天皇容認(或いは推進)などに見られる日本の左翼学者らは、彼らの対日工作に都合よく利用されているように見える。なお付け加えれば、TPP反対の愛国的学識者らには、TPP反対の一方で日本の軍備増強も併せて強調して貰いたいものである。さもなければ彼らも左翼思想家と言われることになるだろう。

今シナ(中国)は虎視眈々と尖閣・沖縄・八重山・奄美の領有を狙っている。こちらに隙があれば直ちに侵攻してくるだろう。シナ(中国)は日本の遣唐使がシナ(唐)に滞在中黄海を越えて13万の兵力を朝鮮に侵攻させたように、シナ(中国)に多くの日本人が滞在していてもシナ(中国)は行動を起こすに違いない。天智三年(663年)のときの日本の海軍はシナ(唐)の海軍に比べて兵器システムが劣っていた。1350年前と同じ轍を踏まないように、日本は万全の構えをしておかなければならない。