2012年5月13日日曜日


母の日(20120513)

 今日は「母の日」、そして日曜日、おまけに上空に寒気が入り込んでいるらしく湿度も低く温暖な晴れの日である。川べりを散歩している人、ジョギングしている人、ベンチに腰かけて川を眺めている人などそれぞれにこの平和な休日を楽しんでいる。

 すれ違う40代ぐらいの二人ずれを見、広場で子供たちの野球の練習を指導している人たちを見て自分がかつてその人たちと同じような年代のころのことを思い出す。「みんな通って来た道だ」とつぶやく。水辺の風景を眺めながら歩いているとき自分の過去を振り返り、「表沙汰にならず済んだようなことが幾たびかあった恥多き人生だったな、幸運にも大事故にならずに済んだようなひやり運転も幾たびかあったな、無明のうちに人の子の親となり、女房が必死の思いで育て上げてくれたお蔭で素晴らしい子供たちに恵まれ人生だったな、俺は生かされてきたのだ」と思った。先日75歳になった男にとって、母の日は老いた女房への感謝といたわりを示す日でもある。しかし何か特別なことをするわけでもない。女房は「父の日と母の日を一緒にしましょう」という。「そうだな、予定どおり月末青森に行こう」と男、「お父さんの腰が治ってからよ」と女房、「もう大丈夫だよ」と男。

 男が1時間半ほどして散歩から帰ってきた後間もなく女房も買い物から戻ってきた。「新鮮なマグロのトロのお刺身があったの、母の日だからお昼はお寿司にするわ」と早速支度にとりかった。お米は買い物に出かける前電気がまのスイッチを入れていて、田舎から送られてきたコシヒカリの美味しそうな匂いがしていた。女房は炊き立てのご飯をすし桶に入れ、自分で合わせた寿司の酢を入れてかき混ぜ、団扇で扇いでいる。男はそれを手伝っている間に女房はシジミ貝の味噌汁を作ったり手巻き寿司用のノリを火であぶって半分の大きさに切ったりしている。男はいつも感心しているが、女房が合わせる寿司の塩梅は最高である。こうして夫婦二人だけで手巻き寿司を食べるのは最高の贅沢である。寿司職人が握る寿司はそれなりに美味しいが、こうして自宅で新鮮な魚と高級なノリの手巻き寿司には及ばないと男は思っている。

 ついでながら男の家では良く天ぷらを揚げる。それも食卓の上に電気式のてんぷらなべを置いて、玉ねぎとニンジンのかき揚げやたらの芽など山野で取れる食材を自分で揚げてその場で食べる。これまた格別である。使う油は新品だし、かき揚げは大して衣をつけずにやや高温で揚げる。格別美味しく、大変贅沢である。大して金もかからない。

 今年の母の日には、男は女房のために花を買って来なかった。その代り、女房が撮った花の写真を飾るのを手伝った。保存フォルダーから女房が気に入っている写真を取り出してA4や2Lなどのサイズで印刷してやったり、花の写真を入れる額を壁に取り付けられるようにしてやった。女房が撮った花の写真には展覧会に出してもよいほど出来の良い写真がある。男から女房への最高のプレゼントは、女房が撮った花の写真をカレンダーにしてやったことである。これは女房70歳の記念に子供たちや親族に配るため作ったものであった。勿論コピー印刷専門の店でカレンダーに仕上げて貰ったが・・・。