2012年5月15日火曜日


日本人は聖武天皇の御世の歴史を学ぶ必要がある(20120515)

 インターネット上には、投稿者が不明な人物が皇室の起源を古代朝鮮にあるように論じている記事が投稿されている。その人物は天智天皇は百済の出であり、天武天皇は新羅系高麗であると言っている。しかもそのページを探ってゆくとなんやらオカルト宗教っぽいページに導かれる。こういう投稿記事は戦前ならば特高警察が調べ上げ、このような不埒な記事を投稿・公開する人物をしょっ引いて国家反逆罪として重罰を課すところである。

 韓国の大学で「天皇の先祖は朝鮮人だ」と言った小沢一郎氏は、戦前ならばどういう目に遭っていただろうか?そのような発言が許される社会は健全だろうか?インターネット上で天智天皇は百済系・天武天皇は新羅系の高句麗系であると言った人物は日本人なのか在日韓国人なのか? ともかく彼は日本の国体に反発している人物なのであろう。

 問題は次代を担う子供たちにきちんとした歴史教育を行っておかないと、子供たちは間違った歴史観をもつようになってしまうということである。そうなれば日本という国の形が崩れ、国として衰退してしまうだろう。国を人間の体に譬えれば、上述のような反国家的投稿記事や小沢一郎氏の発言は“細菌”や“ウイルス”のようなものである。そういう“細菌”や“ウイルス”を増殖させず消滅させてしまうものが“免疫力”であり、“薬”である。国の中の独立した組織としてそのいうな“免疫力”に相当するものを強化し、より強くしなければならない。“薬”は反国家的言動に対する刑罰の強化である。人権派はそれを最も嫌うであろう。だが、国家あっての国民である。国民が未来わたって安心してこの日本で暮らし、平和と繁栄を享受するためには多少の束縛は甘受して貰わなければならぬ。

 今、日本人が最も知るべき歴史は、聖武天皇の御世の歴史である。日本人はアメリカとの戦争負けて、東京裁判を経て日本人の本来の精神を失いかけているが、聖武天皇の御世の歴史を学ぶことによってその失いかけた精神を取り戻すことができるであろう。これも日本という国の“免疫力”を高める有効な方法である。

 聖武天皇は奈良時代の神亀元年24日(72433日)から天平勝宝元年72日(749819日)の間在位された第45代天皇である。聖武天皇の御世に鑑真和上が大変な困難を乗り越えて日本に渡って来られた。また第8次遣唐使船で唐に渡り玄宗皇帝に仕え高い地位まで昇進し、年老いて日本への帰国を試みたが乗った船が難破し、その夢を果たし得なかった阿倍仲麻呂が生きた時代でもあった。

聖武天皇の御世には地震が頻発し災害も多かった。そういう時代に奈良の都に総合大学ともいうべき東大寺が建設され、そこに安置する大仏・盧舎那仏の建立にあたっては全国津々浦々から自発的な浄財が届けられ、全国各地に地方大学ともいうべき国分寺が建設され、また奈良の都に総合音楽大学ともいうべき雅楽寮が建設され、遠くはペルシャやインドからも来訪者があり、元日の朝賀の儀式に朝鮮半島や沿海州の国々からの参列者あったなど、古代における日本の国威が著しく高まった時代であった。

また関東など各地の裕福な農家1千戸の東北地方(陸奥)への移住や福岡から200戸の鹿児島(隼人)への移住、各地にいた高麗人1795人の関東地方(高麗)への移住、朝鮮半島の戦乱を逃れて渡来してきた人々の保護・租税免除など住民の移動、貨幣「和同開珎」の使用、漢人の帰化、過去に朝鮮半島からの帰化し、朝廷に仕えていた下級官人の氏姓変更、奴婢の解放・良民化など現在の日本国の基礎となる事業が積極的に行われた時代でもあった。(参考:講談社学術文庫『続日本紀』宇治谷 孟 現代語訳)