2012年5月2日水曜日


「歴史が好き」な小沢一郎氏は知っているだろうか?(20120502)

 『続日本後紀』のページをぺらぺらとめくっていたら次の一文が目に止まった。「承和二年正月甲戌左近衛戸嶋守(さこんのへのしまもり)(戸の上に脱字あるか)・右兵衛(うひょうえ)同姓真魚(まうお)らに安岑連(やすみねのむらじ)を賜姓した。嶋守の先祖は百済(くだら)国人である」。これは別記漢文を訓読したものである。漢文には(戸の上に脱字あるか)の注記はない。なお訓読文には「甲戌」を「二十八日」と注記している。『日本書紀』『続日本紀』にも奈良・平安時代の渡来人の子孫は官職に就き、天皇から賜姓されている記事が随所に出ている。承和二年は西暦で834年にあたる。

 頼山陽が著書『日本楽府』の中で、天智天皇の御代、西暦663年に唐(当時のシナ)と新羅(当時朝鮮半島に勢力を築いており、シナ王朝の冊封下にあった国)連合軍によって滅ぼされそうになっていた百済を防衛しようとして41千人の日本軍が韓国ソウルに近い白村江で唐・新羅連合軍と戦い、それに敗れてからは王族・貴族を含む何千人という非常に多くの百済人が日本に渡ってきて皇室に仕え、日本のため尽くしたことを『百済を復す』という題で、漢文体の詩を書いている。私はその詩文に節をつけて詠じ、seesaaのブログ『吟詠』の記事として投稿し、公開している。『日本書紀』には彼らが居住地を与えられ、氏姓を与えられ、日本語を教えられたこと、彼らが日本の学術・文化の発展や防衛に貢献したことなどが書かれている。

 朝鮮半島からは後漢滅亡時以降非常に多くの人々が日本にやってきている。そのことは『日本書紀』に例えば、応神天皇の御代に「百二十県の人夫」とか雄略天皇の御代に「秦民九十二部一万八千六百七十人」というように記述がある。彼ら渡来人たちはいろいろな職業の「部民」であり、日本の学術・文化・工芸の発展に寄与している。

 今日の日本人の多くは自分のルーツについて知らない人が非常に多いだろう。後漢滅亡時日本にやってきた人々の多くは韓人(朝鮮人)である。氏姓録では先祖を「漢人」としているが大部分は韓人であり、勿論漢人との混血も多く混じっていたと思われる。約1800年も経てば血は完全に混じり合い、純粋の縄文人・渡来系弥生人は皆無だと言える。かくいう私の遠い祖先は藤原氏族であるが、その藤原氏族といえども千年以上の長い年月の間に渡来した韓人(朝鮮人)の血が混じっていることは間違いない。

 『続日本後紀』に承和二年(西暦834年)三月己未(十四日)に、大宰府が、「壱岐島は遠く離れた海中にあり、土地は狭く人口もわずかで、危急に対処するのが困難です。年来新羅商人が絶えず狙っていますので、防人(さきもり)を置かないことには非常事態に備えることができません。雑徭(ぞうよう)を負担している島人三百三十人に武器を持たせ、十四箇所の要害の岬を守らせたいと思います」と言上してきたので、認めたとある。このような具体的な国土防衛に携わった人々の中には、何世紀という長い年月の間に混血がすすみ、既に日本人になりきっていた朝鮮半島からの帰化人子孫も居たに間違いない。

 フェイスブック上で、韓国政府が後押しして行われている日本海呼称や従軍慰安婦や竹島に関する国際的反日プロパガンダに嫌気がさし、また通名を名乗る在日韓国・北朝鮮人による凶悪犯罪に怒り、韓国・北朝鮮人のことを蔑視する言葉が飛び交っている。これは、長い目でみる日本と韓国・北朝鮮の関係に決して良い行為ではない。

 日本政府政治家・官僚はしっかりとした歴史を持ち、韓国政府に対して強い態度で抗議をし、韓国政府による反日的プロパガンダの支援を止めさせるようにしなければならない。韓国政府は、韓国民を統率するため敢えて韓国の外に「日本」という敵を作り、プロパガンダを容認しているのかもしれない。それは日韓の関係の将来の為、決してプラスにはならないだろう。

 まして小沢一郎氏のように、いまさら敢えて「天皇の祖先は韓国人」などと馬鹿なことを堂々と言うことは絶対間違っている。桓武天皇の生母は百済王族の子孫で、当時の社会では身分が低かったお方である。そのことを敢えて持ち出す意味が何処にあるだろうか?また天皇家のルーツが交戦半島から渡来した騎馬民族の血を引くなどと韓国大学生の前で実しやかに話して、日本の何の得があるだろうか?銅鐸や王冠などの考古学上の知見から、天皇家のルーツが朝鮮半島にはなかったことが明らかになっている。小沢一郎氏は、ただ自分の名声・地位・勢力を高めたいがためだけに言動しているとしか見えない。「常に天下国家のことを考えている」と公言しているが、結局は私利私欲で動いているようにしか、人々の目には映らない。ただ一部の子飼い議員たちが彼に忠誠を誓っているだけである。

 野田総理は党内反対派を「解散」という切り札で切り捨てれば良い。ただ、その前に野党が要求している二人の大臣、田中防衛大臣と前田国交大臣を更迭すべきである。TPPや普天間基地移転に対する根強い反発に対して、日本の安全保障という観点も含めた大局的見地から利害得失を明らかにし、国民の前に丁寧に説明すべきである。