2012年6月16日土曜日


金婚式の青森旅行(20120616)

 男は30数年ほど前、一家4人で2年半あまり青森に住んでいたことがあった。その後何度か青森に観光で訪れたことがあった。奥入瀬にも何度か訪れたことがあったが車で移動するとか、観光スポットの石ヶ堂という場所周辺を散策する程度であった。

 この4月に結婚50周年ということもあってまた青森に旅行しようと考えていたが、いろいろ雑事があって時期を失していた。たまたま女房がテレビか何かで奥入瀬渓流ホテルのことを知り、観光雑誌を買ってきてそのホテルの案内を知り、是非其処に泊まりたいと思っていた。そういう矢先幸運なことに、阪急交通社がそのホテルと往復新幹線をパックにしたメニューを新聞に広告していた。「それに申し込もう!」と意見が一致、直ちにインターネットで申し込んだ。23日で中一日は自由行動である。勿論その他の日も新幹線の座席とホテルの部屋が予め指定されているというだけで、その他は全く自由である。「団体」というスケールメリットで旅行費用が安く提供されているだけで、中身は個人で旅行する場合と変わらない。せいぜい割り当てられる部屋が渓流側でないという程度である。男と女房の部屋は新館の最上階(4階)の端の方で山と木立に面した静かな部屋であった。勿論団体客以外の泊り客もあり、提供される食事は同じバイキング方式で、その内容も十分満足できるものである。

初日午後遅く、そのホテルが運行するシャトルバスで観光スポット石ヶ堂に行き、次に迎えに来る時間まで渓流を遡る散策を楽しんだ。歩いている人は殆ど居ず、二人は十分静かで平和な散策を楽しむことができた。
 
次の日、また同じシャトルバスで石ヶ堂まで行く途中、運転手さんのアドバイスで途中下車し、石ヶ堂まで渓流伝いに歩いた。これはまた素晴らしかった。原生林と現生のシダ類の森の中を歩く人はまばらで殆ど男と女房だけしかいないような状態であった。「恐竜がウォーっと出てきそうだね」と口にしたほど現実離れし、太古の昔の世界に飛び込んだような感覚になる。

石ヶ堂の観光施設の前にJRバスの停留所がある。そこからバスに乗って十和田湖畔の子の口まで行った。其処から遊覧船に乗り休屋までの風景を楽しみ、以前何度も訪れたことがあった休屋周辺を散策した後バスで子の口まで戻り、其処から奥入瀬渓流の傍の小道を下る石ヶ堂までの4時間ほどのウオーキングをした。途中公衆トイレは一か所しかない。そこで用足しをしないと途中で大変なことになる。この下りの散策を楽しんだのは男と女房の二人だけであった。梅雨時期の渓流散策はまた特別な趣がある。雨具は必要なかった。

そのホテルの渓流沿いの庭も森の中を歩くような雰囲気である。男と女房は朝食の前、この庭を散策した。庭では申し込んだ人だけプラス2千円の費用で屋外の朝食を楽しめるコーナーがある。梅雨時期であるので今回この朝食は申し込まなかったが、3、4組の申込者があったようで、従業員たちがその準備をしていた。次回は是非申し込もうと思う。

 特記すべきこととしてそのホテルの温泉の一つに車で送迎される露天風呂がある。そこでは専用の着衣で男女混浴である。夜8時の送迎車でその温泉に行ったのであるが、他に利用客は居ず、男と女房二人だけの専用であった。その温泉には係りの者は居ず、送迎車の運転手が客を送った後、次に迎えに来るまでの間、犯罪防止のため入口に鍵をかける。

二人の専用といえば十和田湖遊覧船もそうであった。子の口から休屋まで遊覧船の客は男と女房以外、一人旅の老人だけだった。申し訳ないので船内の店でコーヒーを注文した。その老人は船内の店の女性店員と会話を楽しんでいた。
 
青森を観光するにもマイカーでなければ十分楽しめないだろう、という先入観があった。今回の旅行で奥入瀬を歩くだけでは何か物足りない。出来ればハイヤーでも雇ってスポットに立ち寄りながら八甲田までゆきロープウエイに乗って山頂にも行きたいと考えていた。ところがそれは全くの杞憂であった。今回経験して初めて分かったことであるが、青森旅行は車が無くても十分楽しめる。公共の交通機関が発達しているのである。料金はそれなりに高いと感じたがJRバス路線網が発達していて方々に行くことができるようになっている。八甲田は梅雨時期視界が悪いので今回は登らなかった。

 奥入瀬渓流ホテルが経営しているらしいが、そのホテルから離れていない焼山停留所の前に「道の駅」がある。其処で沢山の地産の土産品を買ってわが家まで宅急便で送ったが、其処の店員のおばさんに「ここは交通の便がよいねえ。これならこれからちょくちょく来ますよ」と言ったら、その女性は「都会から来た人はそうおっしゃるんですが、地元の人たちは“不便だ、不便だ”と言っているんですよ」と言う。都会では交通機関は人に合わせて運行されるが、田舎では人が交通機関に合わせなければならないという感覚である。

JRバスの運行時間を確認してそれをうまく利用すれば、奥入瀬・十和田・八甲田・青森・八戸などの観光を十分楽しむことができる。男も女房もその便利さを今まで全く知らなかった。これからは新幹線を利用し、奥入瀬渓流ホテルなどリゾートホテルに泊まり、今回できなかった観光を楽しみたいと思う。秋の紅葉は非常に素晴らしいと思う。是非、この秋にはまた奥入瀬を訪れたいと思う。紅葉の時期は10月下旬から11月上旬であるという。このホテルは12月から翌年の3月までは閉鎖されるという。