2009年8月4日火曜日

年寄りの靴(20090804)

横浜のみなとみらいの象の鼻公園を老いた男が中年の女性のガイドに付き添われて楽しそうに会話しながら散歩している。その老人は若い人が好んで履くような格好の良いスニーカーを履いている。しかしそのスニーカーのかかとの部分が23センチも隙間があるようなぶかぶかの靴である。女房は「年寄ってあんなぶかぶかの靴を履きたがるのよね。履き易いのかしら。」と言う。
男は「そうだと思う。福祉用品の靴で、横でぱちっととめるような履きやすい靴があるよね。でも店で売っているものはどれも格好が良くない。メーカーは体が不自由になった年寄りの靴はそのような靴がよいと頭から決めてかかっている。しかし年寄りは若い人のような格好の良い靴を履きたいのだ。」と自分があのような一人では散歩できないような年寄りになったときのことを想像しながら、女房の言葉に応じた。
男はメーカーが若者が履くような格好の良いもので年寄りが履きやすい靴を作れば、多少値段が高くっても年寄りはその靴を買うだろう、年寄りの心理をよく汲み取った靴を作れば、年寄りは買うはずだ、とそのとき女房には話していた。しかし今これを書いているとき、男は自分があの老人のような年齢になってみないと、あの年齢の老人の本当の気持ちは分からないだろうな、と思っている。

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