2009年8月15日土曜日

田舎に暮らす楽しみ(20090815)

 男は田舎で独り暮らしをしている母(男の継母・女房の実母、但し彼女が男の父親の後入りになったため8歳の時以降母娘別居)を看るため時々九州の田舎に帰っている。今回はその母が軽いヘルペスを発症しかかりつけの病院に入院したため帰ってきた。母はこの夏90歳になった。5年ぐらい前、そのかかりつけの病院で検診を受けた時、超音波検査で大腸に6cmほどの大きさのしこりがあるらしいことが分かり、母を九州から連れてきてK市民病院で手術を受けてがんを切除してもらった。その病院を退院するとき、執刀してくれたI医師は「再発防止のためには抗がん剤を打ったほうがよいのだが・・」と言っていた。

 案の定1年後がんが再発した。A病院に入院させ、今度は抗がん剤で治療することになった。男は担当のM医師に「母は高齢なので、治療する必要はない。がんと共生する程度の治療の仕方でお願いしたい。」と要望した。N大医学部出の若いその医師は男の希望を聞き入れてくれて、抗がん剤を通常の3分の1程度の量で投与し、血球数が上がらないので投与の間隔も3週間以上開くような状態で投与してくれた。抗がん剤は何十種類もあるそうで、M医師は母の体質に最も適すると考える抗がん剤を投与してくれた。その結果不思議なことに3回の投与でがんが消滅した。その後ダメ押しのため、リツキサンとかいう高価な薬を8回投与してくれた。その結果がんはひとまず治った。

 そのようなことがあって、長男であり先祖の祭祀もしなければならない男は女房とともによく田舎に帰っている。母は手術のためわずか1カ月男の家に滞在していただけで、慣れない都会よりは住み慣れた田舎がよいと言って田舎に戻った。以来、男と女房は母があの世に逝くまで年に数回田舎に帰ることになった。今回は男だけが田舎に帰っている。

 この田舎でブロードバンドのインターネットに接続していろいろ出来るようになったので、男は都会に住んでいるときと同じような楽しみを得ることが出来るようになった。田舎に暮らしていて退屈するようなことはなくなった。

 この町は人口1万7千人余りの風光明美な地の中央にある。温泉もあちこちにあり、幹線道路沿いに大型の店も何軒かあり、男の家のすぐ隣にはお惣菜や弁当など作って売っている店があり繁盛している。独り者でも暮らしやすい町である。総合病院はないがしっかりした病院が3、4か所あり、眼科、耳鼻咽喉科、歯科などの専門医院もある。人口の割には医療施設が充実している。老人が多いがその親族は比較的近い都市に住んでいるので、何かあればすぐ飛んで帰ることができる。ケアマネージャーによれば、男のように遠隔地に親族が住んでいるケースは非常に少ないとのことである。

 昨日は医師に勧められて母を病院から連れ出し、デパートの一角にある喫茶室でココアを飲みながら話しをした。今日も連れ出して川の景色を観、その後タクシーを呼んで墓参りに連れていった。毎日午後の点滴が終わった後、3時過ぎに母を連れ出して運動をさせる。それが日課でそれ以外男の戸外の活動は庭の植木の手入れをしたり、草をむしったり、母の楽しみのため植えておいたナスやトマトやキュウリやゴーヤの成り具合を見たり、家の手入れをしたりすることなどである。夕食時、テレビを観ながらの独り晩酌も楽しい。