2011年4月2日土曜日

集合的無意識(20110402)

 此の度の大災害に関する報道を視聴して思ったことがある。

 それは、政治家や有識者やマスコミなどのように積極的に発言していない、または発言しても身近な範囲にしか発言していない無名の絶対多数の人びとの、無意識または無意識に近い思いのとおりに、世の中が動いてゆくということである。

 この動きは、人びとが「そうあるべき」と思っている方向への動きである。道徳の方向への動きである。人びとは一時期、影響力のある者の発言に耳を傾け、その者が誘導する方向に引きずられるが、やがてその者の発言を信用しなくなる。

 道徳に従う発言や行動は、たとえ初めのうちは見向きもされなくても、道徳に従う発言や行動が忍耐強く続けられると、人びとはその発言や行動に関心を示すようになる。

 それは集合的無意識の現われである。いま、この日本では、国の危機に対して人びとは自分の思想や理念とは無関係に、「皆同じ船に乗っている」という意識になっている。船長が自分の思想や理念に合わない人であっても、またこれまでその船長に好感を持っていなかった人であっても、その船長が一生懸命やっている姿をみて、今は船長とともに、皆で力を合わせて、この大嵐の海を乗り切ろうと思っている。

それは集合的無意識の現われである。政治家や有識者やマスコミなど影響力がある者は、この集合的無意識を無視することはできない。道徳の方向に逆らってきた政治家は、沈黙せざるを得ない。彼らはいずれ淘汰される運命にある。

自衛隊は米軍と緊密な連携を保ち続けてきた。その成果が初動対処の時に如実に顕われた。そして今、自衛隊と米軍なしには、危機から脱出することはできない。アメリカ海兵隊は、福島第一原子力発電所被災事故による放射能汚染の拡大を防止するため、特別に訓練されてきた専門部隊を送り込んでくれた。人びとは、彼らの活動に大きな期待を寄せている。この際、普天間の問題と関連させたうがった見方はすべきではない。

天皇皇后両陛下は、国の為、人びとの為、祈りを捧げられ、人びとの苦しみを分かち合いたいと行動しておられる。両陛下の純粋無垢のお心に人びとは心を動かされている。

此の度の未曾有の大災害に遭い、人びとの集合的無意識は変わった。