2011年4月7日木曜日

人生にもきっと浅瀬がある(20110407)

 本多顕彰(ほんだ あきら)という方が、「人生にも、きっと浅瀬がある、と思うようになった。私は苦しいときには決してじたばたしない。幸いに、私の人生には、浅瀬がいつもあった」と言っている。

 本多顕彰は、明治31(1898)10月、愛知県名古屋市に生まれ、昭和536月、80歳で没した。彼は東京帝国大学英文科卒で、東京女子高等師範学校教授・法政大学教授を歴任された英文学者・文芸評論家であった。

 人生は人それぞれで、平穏無事な、幸せを絵に描いたような人生を歩んできた人もいれば、一方で死にそうな苦しい思いを経験し、苦労が絶えない人生を歩んできた人もいる。

既にこの世から去った親や祖父母や叔父叔母や先祖らが非常な苦労をし、子孫のために頑張ってくれたお陰で、今、幸せな日本人が沢山いる。今日の日本人の幸せは、それらの方々のお陰である。

その日本で、未曾有の大災害が起きてしまった。夫や妻や子や親や、祖父母や兄弟・姉妹を亡くし、家・財産を失ってしまった人たちが沢山いる。

親を亡くしたある9歳の男の子は、健気にも悲しいことを忘れ、前向きに生きて行こうとしている。似たような子どもたちが沢山いる。

これまで平和を享受してきた日本人は、この苦しみを乗り越え、次世代のため、良いものを遺さなければならない責務がある。

 被災した人びとは、「負けてたまるか!」と歯を食いしばって、復興にむけて立ちあがっている。日本中が「頑張ろう」の合言葉で助け合い、励まし合っている。

 しかし、今日平穏無事であっても、明日何が起きるか判らない。もし万一わが身に何か起きたとき、上記本多顕彰の言葉を思い出そう。人は、自分の人生を終えるまで、その時たとえ75にも80になっていて、もし何か重大なことが起きたとき、その時「きっと浅瀬がある」とわが身を励ましたい。そして言葉でも何でもよいから、何か良いものを、自分の子や孫たちにはもとより、他人の子どもたちにも遺して逝きたいものである。